ニーズに合わせてカスタマイズできる国際私法

佐々木 里紗さん 受験歴: 新試験1回
一橋大学法学部(大学院飛び入学のため中退)
早稲田大学法科大学院 【既修】2019年入学・2021年修了
2020年予備試験合格

1 国際私法を選択した理由

 選択科目に悩んだ際、予備試験にも合格したロースクールの先輩から、国際私法は暗記量が少なく、負担の少ない科目だという話を聴きました。予備試験の合格も目指していたので、そのための勉強にも時間を割きたく、また、憲法や民法などの暗記が著しく不十分な状態だったので、選択科目は短時間で完成させようと思い、国際私法に決めました。

2 国際私法のメリットとデメリット

(1) メリット
 最大のメリットは、やはり上述の通り、楽なことです。ロースクールの国際私法の教授は、「国際私法で司法試験を受けることは、大学入試をフランス語で受けるようなものだ。」すなわち、国際私法は受験者数が相対的に少ないけれど、難易度が他の科目と比べて低いのだということをよく仰っていました。
 使用する条文も、法の適用に関する通則法(全43条)、扶養義務の準拠法に関する法律(全8条)、遺言の方式の準拠法に関する法律(全8条)、民訴法の管轄に関する条文、人訴法の管轄に関する条文、及びウィーン売買契約が主なものなので、大事な条文はイメージ的には、80個位にすぎません。使用する法律は、わかりやすい構造のものが多いので、条文を引ければ解決できる設問が多いです。
 また、判例が少ないので、裁判例も学習することになりますが、それでも、押さえるべきものは他の科目に比べて圧倒的に少ないと思います。
そのため、司法試験の足切り点を余裕で超えられるようなレベルに到達するのに、時間が掛からないです。
 そして、正しい条文を引いた後、理由付けを厚くしたり、判例や裁判例の知識をのせて書いたりすることで、得点を上げることができるので、目指すべき得点の基準に応じて勉強時間を調整できる便利な科目だと思います。

(2) デメリット
 演習書が少ないため、たくさん勉強したい人は、素材に困るかもしれません。その場合は、辰已の選択科目集中答練をとると、たくさん演習出来、良いと思います。
 また、比較的少ない勉強である程度のレベルには達しますが、そこから突き抜けて、高得点を安定して取るには、かなりの勉強が必要になると思います。
 最後に、試験戦略上はそれほど関係がないことですが、労働法などと異なり、実務に出てからあまり使うことがない科目であると言われることが多いです。

3 法科大学院での学習状況

 ローでは、3年生の春学期に国際私法の講義を2つ、秋学期に国際取引法の講義を1つとっていました。
 春学期の授業は、アカデミックで難しく、試験対策に直結する感じではなかったので、曖昧に聴いていて、問題形式の期末レポートを解く際に慌てて基本書を参照していました。
 秋学期の授業では、後半から司法試験の過去問などの問題演習が始まったので、丁度予備試験の論文が終わったそのあたりから、基本書を真面目に通読して、問題演習に取り組むようになりました。

4 受験対策

 色々な基本書に手を出しましたが、一番分かりやすく、読みやすかったのが松岡先生の国際関係私法入門でした。そのため、結局通読したのはこれだけで、この本に載っている趣旨や規範を暗記していました。内容も、網羅性が高く、これだけで十分司法試験に対応できるので、おすすめです。2020年の11月、12月上旬にこの本をじっくり読み、ローの授業を含め、司法試験の過去問を解いていました。12月下旬から3月までは、予備口述対策や就職活動で国際私法にまとまった時間は割けませんでした。
 2月、3月は、辰已のスタ論の選択科目の回で合計3回程度、実際に3時間かけて答案を作成しました。3時間という規定の時間で、1年分相当の問題をまとめて実際に書いたのはこの時が初めてでした。答案返却の際に、コメントが細かく書いてあったので、大変参考になりました。選択科目は採点してくださる方がなかなか見つからないので、スタ論をとっていて本当によかったです。また、辰已の公開模試を受けて、そこでも解きました。
 4月には、比較的まとまった時間をとって国際私法の勉強をしていました。しかし、コロナにより予備試験が延期された関係で、予備(合格発表)から司法試験まで3ヶ月半しかなく、かなり切羽詰まっていました。4月の時点で短答の解き直しもまだ終わっておらず、国際私法だけに時間をかけられる状態ではなかったです。そこで、国際私法は、とにかく足切りをされないことを目標に勉強しました。そのために、まず、辰已の、2019年国際私法1位合格者による国際私法合格答案Master講座を聴いて、趣旨や規範を復習しました。高得点を取るためのポイントなども解説されていたので、受験生にとって非常にためになる講義だと思います。次に、前述の国際関係私法入門を読み直し、出でくる条文を読んで、趣旨や理由付け、論点を叩き込みました。
 以上のように、かなり付け焼き刃な勉強をした結果、本番で6個の設問のうち1個についてそもそもの条文を間違えるというとんでもないミスをしましたが、それでも、足を引っ張らない得点は十分取れました。

5 自分の反省を踏まえたアドバイス

 私が本番上記のミスをしたのは、圧倒的な演習不足が原因です。意識的に時間を作って、自分で答案を書くことが難しい性格だからこそ、辰已の選択科目集中答練をとって、強制的にもっと演習しておけばよかったです。
 初学者の方は、高得点を目指す場合、アウトプットを意識したインプットを心がけると良いと思います。私は解ききれなかったのですが、演習国際私法case30という演習書は受験生の間ではメジャーで、わかりやすいので、単元を学習するごとにこれを使って復習すると良いかなと思います。逆に、突貫工事でよければ、国際関係私法入門と司法試験の過去問を押さえて、答練で練習すればそれなりの点が取れると思います。
 来年受験される方について、直前期は、暗記に走りやすくなると思います。しかし、国際私法は、勉強すればするほど、理由付けなどの知識が増えるため、答案にたくさんのことを書きたくなってしまい、解答用紙が足りなくなったり、時間配分をミスしやすくなったりします。気をつけないと、本当に解答用紙が足りなくなります。そのため、直前期に少なくとも1回は、時間を計って、実際に答案用紙に書いてみた方が良いと思います。

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