予備試験は要領良く、司法試験は素直にね!!

佐々木 里紗さん 受験歴: 新試験1回
一橋大学法学部(大学院飛び入学のため中退)
早稲田大学法科大学院 【既修】2019年入学・2021修了
2020年予備試験合格

1 司法試験の受験を決意した経緯

 中学生の時に参加したイベントで、弁護士の先生から、法の知識という「知」と、依頼者を思いやる「情」の両方を兼ね備えて、困っている人を助けるのが弁護士であるという話を聴き、弁護士に憧れを抱きました。
 そして、大学入学後に、就活イベントに参加したり、授業でキャリア形成についての話を聴いたりするうちに、働くということは厳しく、一生勉強することなのだなと感じました。法律の勉強は、実生活に関係があり、勉強すればする程成果が出ることから、好きになり、続けられそうだと思いました。そのため、働くためには法律しかないと思い、覚悟を決めて勉強するようになりました。

2 予備試験合格までの学習状況

 大学時代から勉強して、予備試験を受験していたものの、行き詰まりを感じるようになり、大学3年時の2018年の論文は、順位が1200位近くと合格には程遠いものでした。
 悩んでいたところ、早稲田ロースクールに早期入学の制度があり、早期入学者は優先的に給付型の奨学金を受けることができると知り、入学を決意しました。
 ロー入学後に初めて受けた2019年の予備試験の論文は、合格点が230点のところ229.93点で、あと3人のところで不合格となりました。
 この不合格後に、予備試験に向けて特に重点的に対策していた科目は、憲法と民事実務基礎科目です。
 憲法はそれまで、曖昧なまま答案を作成して、自由論文のようなものになっていたにも関わらず、どのように勉強すれば良いかが分からず、困っていました。そこで、ロースクールで、憲法の指導をなさっているチューターの先生にご指導頂き、百選掲載判例のうち、重要な判例の解説をして頂いて、判例の事案と、重要なワードを押さえるようにしました。その成果が出て、成績がみるみる上がり、2020年の予備論文では、2018年・2019年とFだった憲法で、Aをとることができました。自主ゼミで検討した司法試験でも、予備試験でも、憲法は、判例に則って書いてあると必ずと言って良いほどAがついていたので、憲法学習は、判例を押さえることが全てと言っても過言ではないと思いました。
 実務基礎科目は、ローで2019年の予備試験に合格した同期から、実務基礎科目を制する者が予備を制すること及び、大島本の上巻が民事の対策に必須で、過去問も繰り返し解くべきことを教えてもらいました。そこで、大島本上巻を叩きこみ、論文の直前には民事・刑事の過去問を2周して論文試験に挑みました。その結果、2019年にCだった実務基礎科目もAをとることができました。
 そして、刑訴法は2019年もAを取っていた位得意だったので、得点源とすべく、古江先生の事例演習刑事訴訟法を網羅的に勉強して、漏れなく、精度の高い答案を書けるようにしました。2020年は、一事不再理効というマイナーな分野が出題されたのですが、古江先生の本で詳しく勉強していたため、ばっちり書くことができ、Aを取ることができました。
 また、コロナの影響で、予備試験が延期となったことにより、論文試験の直前がローの夏休みとなっていたため、2019年にはローの授業があることを言い訳に受験しなかった、辰已の論文予想答練を受講し、直前に答案を沢山書きました。
 これらの対策をした結果、2020年には200番台の前半で論文試験に合格することができました。
 そして、論文の発表前から、ローの同期や先輩に教えてもらった口述対策をすることで、最終合格することができました。

3 予備試験合格後の受験状況

 コロナの影響により、2020年度の予備試験が延期となったため、予備試験の口述試験から、司法試験まで、3ヶ月と少ししかありませんでした。その上、口述試験後に、法律事務所への就職活動を精力的にしていたため、時間はなおさらタイトでした。
 予備突破後の司法試験で最も怖かったことは、短答での足切りと、選択科目での足切りでした。そのため、これらの対策に一番注力しました。短答は、過去問を全て解き直し、選択科目は、基本書を頭に叩き込みながら読み直しました。
 また、予備論文は1科目70分であったところ、司法試験では論文が1科目2時間だったため、辰已のスタ論で答案を作成し、2時間の感覚を取り戻しました。
 そして、得意でなかった民法と民訴法について、ローの先輩から頂いたまとめノートや、ローのレジメを読み込みました。
 また、近年、自説とは異なる見解についても問われる刑法について、基本刑法をざっと読み返しました。
 刑訴法と憲法は、予備試験の時点でかなり完成しており、行政法と会社法は、可もなく不可もなくという感じで、短期間で得点を伸ばすことは困難だったので、これらについては、予備の際に作成したまとめノートを見返すだけでした。
 以上の対策をした結果、短答は危なげなく足切りをクリアし、論文も、選択科目以外は全てAで、余裕をもって合格することができました。

4 受験対策

① 辰已講座の利用方法とその成果
 私は、大学生の時に、原孝至先生の基礎講座を受講しました。その理由は、他の予備校の入門講座と比べて、価格がリーズナブルであったことと、体験講座が分かりやすく、聴きやすかったからです。入門講座は、それだけでは合格水準に達するものでなく、よほど頭の良い人でない限り、その後に自分での相当な学習が必要となるものです。しかし、原先生がわかりやすく噛み砕いて説明して下さったからこそ、法律の勉強が面白いと思えるようになりましたし、法律の読み方や勉強の仕方を教わったからこそ、その後の学習方法を掴めるようになりました。そのため、基礎講座の受講は、最終的な合格のために不可欠なものでした。
 また、金沢幸彦先生の予備試験過去問答練も、受講して本当によかったなと思います。法律の勉強は、やりだすと量が膨大で、道を誤ると迷宮入りしかねません。勉強開始から初期の段階で、この答練を受けたことで、強制的に予備の過去問をたくさん解き、知識が蓄えられるとともに、試験でどのように問われ、上位合格者がどのような答案を書いていたかという型を学ぶことができました。体系的に知識を入れる前に、かかる型を学べたからこそ、より効率的に知識を整理することができました。
 そして、予備の論文予想答練や、司法試験のスタ論も受講してよかったです。試験直前は、気持ちが焦って、暗記に走りがちで、時間がタイトであればある程その傾向が強まると思います。しかし、試験の合否は、本番いかに上手く答案を書けるかで決まりますから、直前こそ、答案を書くべきだと思います。答練では、本番と同じ試験時間で解くことができ、時間の感覚を掴むことができます。また、よくまとまっているレジメが配られるので、短時間で復習することができました。
 また、予備総択や予備論公、口述模試、司法試験の全国模試などの模試も必須だと思います。模試と本番は試験の傾向も異なるから、模試には意味がないという人もいます。しかし、受験生活を振り返ると辰已で受けたほとんどの模試での上位から何%といった割合が、本番のそれと一致しました。そのため、辰已の模試は、精度が高いです。コメントも丁寧にされているので、本番に向けて、自分の実力を確認するのに非常に役立ちます。

② 受験対策について
 私が予備試験及び、司法試験を受験して感じたことは、予備試験は要領の良さが必要となる試験で、司法試験は、真面目にコツコツ勉強してきた人を合格させる素直な試験だということです。
 予備試験では、一事不再理効や行政契約といったメジャーではない論点も問われますし、短答も論文も司法試験に比べてはるかに科目が多いです。しかし、自分の論文の成績通知書を見ると、決して完璧が求められる試験ではないということが分かります。実務基礎及びその他2つでAが取れれば、最悪Fを3つとっても合格できます。私は予備に短期合格できませんでしたが、自分の反省を踏まえて、周囲の短期合格者を見ると、実務基礎を叩き込んでAを取り、得意科目を2つ以上作って、あとは練習で得点が増える行政法などの演習をして、たとえFであっても得点が入るように苦手科目を極力潰せば、短期合格できると思います。
 司法試験は、予備試験と比べて、4日間の試験であることから、体力的にきついですし、人生がかかっている感じが、多くの人にとって予備試験よりも大きいため、精神的にもきつい試験です。しかし、試験自体の難易度は予備試験と比べて低く、予備試験よりもはるかに受かりやすいです。特に近年の司法試験は、問題構成が変化して、時間的に余裕をもって解けるようになっていますし、ロースクールで重点的に扱わないような、マイナーな論点については殆ど出題されないようになっています。そのため、基本事項を押さえれば、十分合格できる試験です。もっとも、司法試験には、科目別の足切りがあるので、基準が高くないとはいえ、全ての科目について、漏れなく、真摯に勉強することが必要となります。

③ 使用した本
(ⅰ)短答過去問パーフェクト
 予備試験の短答対策について、短答には会社法の機関など、論文では問われないような分野についても細かく問われるので、短答プロパーの知識も重要となると思います。そして、過去問で問われたのと同じことが再び問われることも多く、過去問の傾向が踏襲されるので、過去問を繰り返し解くことが重要です。私は、辰已の短答過去問パーフェクトを回して、短答に合格しました。辰已のパーフェクトは、解説が長いと敬遠する受験生もいますが、他の予備校の本は解説が滅茶苦茶なことがあり、ストレスを感じるので、パーフェクトが良いと思います。司法試験の短答でも同様に、パーフェクトを使用しました。

(ⅱ)実務基礎科目ハンドブック(辰已)
 予備口述対策で使用しました。過去問が網羅的に載っていて、民事では、執行保全法がまとまっていて、見やすかったです。過去問の部分と執行保全のところを読みました。

(ⅲ)その他おすすめの基本書
 予備論文・口述の民事実務基礎科目対策として、大島本の上巻を叩き込むのがおすすめです。また、口述の刑事対策や司法試験対策として、基本刑法をじっくり読むのがおすすめです。そして、国際私法は、松岡先生の国際関係私法入門が読みやすくてよかったです。

5 アドバイス

① 学部在学生・予備試験受験生へのアドバイス
 まず、伝えたいことは、共に勉強する仲間や、先に合格した先輩を見つけたほうが良いということです。私は、学部生の頃は、勉強は1人でするものと思って1人で勉強していましたが、それは間違いでした。ドライな話をすると、そもそも、予備試験も司法試験も相対評価の試験なので、受験生の大半がしているのと同じ試験対策をすれば、沈みにくくなり、それを知る必要があるのです。また、論文の勉強では、書き方など、他の人の答案をみて吸収できるものが大きいです。さらに、メンタル面では、予備合格までには必ず壁にぶつかる時がきます。その時に、同期や先輩の存在に非常に助けられることとなると思います。
 次に、私は短期合格でないので、反省を踏まえてのアドバイスになります。短期合格をしたければ、短答で、一般教養科目で稼ぐべきということです。一般教養科目は難しく、たまに試験時間に寝ている人もいます。しかし、さまざまな分野があるので、必ず自分に解ける分野の問題があるはずです。配点も大きく、大学受験の記憶が新しければより有利になる科目なので、模試などを使って、一般教養科目を伸ばして欲しいです。そして、論文は、大島上巻と過去問を使って、実務基礎で確実にAを取ることです。民法が苦手でも、愚直に暗記すれば十分Aが取れますし、他の科目と比べて範囲が狭いので圧倒的にお得な科目です。

② 予備試験合格の司法試験受験生へのアドバイス
 予備試験に合格していれば、司法試験も十分に合格することができます。しかし、緊張感は予備試験のそれを上回りますし、刑法など、予備試験と異なる傾向の科目もあります。そのため、就活なども大変だとは思いますが、慢心せずに、勉強を続け、答練などで司法試験の形式になれるのが良いと思います。

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