為せば成る

R.Kさん 受験歴: 新試験1回
早稲田大学法学部
2020年予備試験合格
【受講歴】短答完璧講座 他

1 司法試験の受験を決意した経緯

 中学2年生のとき、授業の一環で、二日間にわたり地元の企業や店舗に職場体験に行く機会がありました。「将来絶対にやらないであろう職業を体験しよう」と思い、近所のお寺に受け入れを依頼しました。しかし、葬儀等で多忙なお寺からは受け入れを断られ、担任の先生の勧めで法律事務所に行くことになりました。当時、将来は教師になりたいと思っていたため、当然ならが弁護士は「将来絶対にやらないであろう職業」でした。職場体験の二日間では、裁判傍聴や訴状の作成をしたり、弁護士の役割について議論することで、法律を扱う職業に興味を持ち始めました。その後、法律を学びたいという思いは変わらず、早稲田大学法学部に進学し、一時は研究者への道も考えましたが、依頼者と向き合って問題解決を図ることこそ自分のやりたいことだと思い、法曹を目指そうと決意しました。

2 予備試験合格までの学習状況

(1) 司法試験を目指すには、大学の講義だけではなく予備校に通うのが良いと風の噂で聞き、基礎講座を受講しました(残念ながら、その当時、辰已には出会っておらず、別の予備校でした)。大量のテキストが送られてきて、「こんなに勉強しないといけないのかぁ」とやや弱腰になりつつも、周囲の受講生のやる気に後押しされ、受講を続けていました。動画受講が可能であったため、「順調な受講スピード(・・・・・・・・・・)で、かつ比較的早期(・・・・・)に」全科目の基礎講座を受け終え、論文対策に移行しました。論文の「型」は習得したものの、なかなか高得点を得る答案を書くことができず、悩んでいるうちに、予備試験短答式試験が近づき、過去問演習に多くの時間を割きました。その当時は、短答の学習方法を知らず、ただ闇雲に解き散らかしていました。その結果、短答式試験は不合格。しかし、今改めて考えると、過去問を解くだけの対策しかしていないこと以上に、基本的な理解ができていなかったのだと思います。というのも、数行前に、「順調な受講スピード(・・・・・・・・・・)で、かつ比較的早期(・・・・・)に」全科目の基礎講座を受け終えたと記しましたが、決して「理解」を伴って受講を終えたのではなく、単に講義を「消化した(=受け終えた)」にすぎないのでした。
 そこで、改めて自分の学習方法を見直したところ、テキスト等に書かれたことを読んで覚えることよりも、自分なりの言葉で説明しつつ整理した方が、(多少は時間がかかるものの、)正確な理解に繋がると思うようになりました。そのことに気がついて以来、各科目、自分なりのまとめを作成するようにし、テキストに掲載された所謂「論点」をはじめ、判例の概要や判示内容等を自分の言葉で整理しました。基本書等にもあたり、予備校テキストの記載が本当に正しいのかを吟味しました。また、大学の講義で先生がなさった解説も、必要に応じてまとめに反映させました。
 そのような中で、先輩経由で辰已の講座を知り、苦手であった短答対策のために短答完璧講座を受講し、答練も受講するようになりました(この点は、後掲6(2)参照)。
 このように、予備試験合格の年は、短答は短答完璧講座で対策し、論文対策は自作のまとめを用いるようにしました。いずれの方法も情報を一元化する点では一致します。

(2) 私が合格した令和2年予備試験は、ご存知の通り、新型ウイルスの影響で数ヶ月の延期を余儀なくされました。法学部を3年次早期卒業し、ロースクールに進学していた私は、延期前の予備試験の日程に配慮した科目登録をしていました。しかし延期によって奏功しなかったため、予備試験(特に論文と口述)直前期も連日の講義におわれ、予備試験に特化した対策を十分にとることができませんでしたが、それでも手を広げることなく合格を勝ち取ることができたのは、多少時間がかかってでも丁寧に作成した自作のまとめがあったからでした。

(3) 他人の書いた文を読んで覚えることよりも、自分の言葉で言い換えることの方が断然理解の促進につながると強く実感しました。

3 予備試験合格後の学習状況

 既に述べたとおり、私の受験年は予備試験が延期されたということもあり、予備試験合格から司法試験まで約3ヶ月しかありませんでした。当然、その間にはロースクールにおける講義の予習もしなければならず、さらには予備試験合格者対象のインターンにも参加したため、著しく勉強時間が限られていました。「3ヶ月の勉強、対策で司法試験に受かるなら、みんな苦労しねーよ!」と思いつつも、決して手を広げてはいけないと肝に銘じて、自作のまとめの復習に時間を費やしました。また、選択科目の勉強時間を確保するようにも努めました。残念ながら、選択科目の過去問全てを十分に検討することはできませんでしたが、大まかな傾向や出題分野を把握することで、どこを重点的に学習すべきかがわずか3ヶ月の間にわかるようになりました。それに加え、過去問の傾向として、第1問・第2問を通して1問は基本的基礎的な事項を問う問題が出題されていることに気がつき、足切りを回避するためには「ど基礎」の定着が必至だろうと思い、ひたすら基礎事項のインプット、アウトプットのトレーニングを行いました(具体的な方法は、後掲6(2)参照)。

4 受験対策その1

(1) 辰已講座の利用方法
ア 答練(スタ論、予備試験過去問答練)
 答練については、多くの受験生と同様に、時間内に解き、解説をきき、解説冊子と自分の答案を比較する、後日答案返却があった際にはもう一度復習する、というオーソドックスな活用方法を実践していました。作成した答案は添削のために回収されてしまうため、スマホで写真を撮っておき、答案添削後であっても、答案と解答例を比較できるようにしました。解説冊子は、内容が大変充実していて、出題論点の周辺知識まで解説がなされており、2〜3時間かけて精読しました。ときに、超難解な論点への言及(こんなの試験にはでないだろ〜!と言いたくなるような事項)もありましたが、司法試験合格に必要な力が10とするならば、12ないし13程度の知識を得ておくことも決して無駄にはならないだろうと思い、常に精読を心がけました。

イ 短答完璧講座
 司法試験科目(憲法・民法・刑法)のうち、苦手意識があった憲法と民法を受講しました。民法は予備試験受験前に受講していたため、その際に使用したテキストを司法試験当日まで繰り返し見直しすることに徹しました。過去問演習では「短答パーフェクト」を使用していましたが、間違えたときには、短答完璧講座テキストの該当ページに付箋を貼り、条文の趣旨や論点の確認を行いました。そのような作業をしているうちに、付箋の数から、間違えやすい箇所や苦手分野が明らかになりました。試験直前期は、その分野の復習に特に力を入れました。
 また、憲法民法いずれのテキストでも、図表が多用されている点に特徴があり、頭の中で散らかった知識を、ひとつの表で整理することができます。特に、民法は条文数が多く、表を用いて整理することなしに、単独の条文知識を養っても短答の点数upには繋がらないと思います。その点で、図表が多いことは、大変理解の助けになりました。

5 受験対策その2(まとめ作成術)

 作成術、といっても、自分の好きなように、自分にとって分かりやすくなるように作成するだけです。
 これは私だけの症状かもしれませんが、基本書や演習書の中には、ときたま字のフォントや叙述のスタイルが受け付けないことがあります。しかし、自作のまとめは、自分の好きなフォントを使うことができますし、自分の言葉で説明を作ることができます。もちろん、作成したものを何度も見返して復習することになりますが、作成する作業そのものがインプットに繋がります。また、ロースクールで使用するTKCや判例秘書を用いると、即座に法律系雑誌の記事・論文を参照でき、「なるほど!」「この表現よい!」「この説明がしっくりくる!」と思った際は、まとめに引用していました。

6 使用した書籍等

(1) 短答対策
 過去問演習として、辰已の「短答パーフェクト」を使用していました。各科目、7〜8周は解きました。私は、①全問解く→②間違えた肢だけ解く→①に戻る、という方法をとりました。一度正解した問題でも、少し時間が経つと忘れている可能性があると考えたからです。また、自宅で勉強をする際は、各肢のどこが間違っているのか等、理由を口に出しながら解き進めました。これは、自らの言葉で説明するという点で、論文の対策にもなったように思われます。これをお読みの方々には、家族や近隣の方の迷惑にならない範囲で、ぜひ試していただけたらと思います。

(2) 論文対策
 論文対策としては、過去問、演習書、ロースクールでの期末試験の過去問、答練を活用しました。
 ここでは、紙幅の関係上、全ての科目について書く余裕がないため、選択科目について書きたいと思います。
 予備試験合格から3ヶ月しかない中で、基礎知識の理解の助けとなったのは、加藤=中島編「ロースクール演習倒産法」と辰已法律研究所「1冊だけで倒産法」でした。前者は、分野ごとに事例問題が与えられ、それを通して基礎論点や重要判例について学べるものです。司法試験の問題と比較すると、事例自体は短いですが、広く網羅的に事例演習をすることができます。答案構成を丁寧に行い、解説を読みつつ、間違えた箇所・理解の及んでいなかった箇所は翌日に起案する、という手順で進めていきました。しかし、起案したものの、その論述の出来不出来がわからないため、そこで活用したのが「1冊だけで倒産法」でした。この本には、論点ごとに、問題の所在と理由付け・結論が簡潔に記載してあり、必要に応じて反対説まで載っているため、論述対策には大変役に立ちました。さらに、後半のページには、本試験過去問の答案例も載っており、倒産法の答案の「型」が身につきました。
 本来であれば、時間をかけて、伊藤眞「破産法・民事再生法」、山本ほか「倒産法演習ノート」等をこなすべきとは思います。しかし、倒産法の試験では、基本書に載っていないような(載っていても注などにすぎない)論点が出題される可能性は低いと考えていたため、基礎の定着に力を入れる上では上記2冊で十分でした。

7 これから受験される方へ

 近時、Twitterやブログ等で、勉強の方法論を語る人が散見されるようです。しかし、それは、その発信者が試して成功した方法に過ぎず、それを実践しないと落ちる!ということは決してありません。当然、私が本紙で書いたことも、また然り。そのことは常に覚えておいてほしいと思います。どのような基本書・演習書・講座を選び、どのような方法でインプットし、どのような方法でアウトプットするか、数えきれないほどの選択肢があります。とはいえ、自分にとっての「最適な方法」を知っているのは、知ることができるのは、紛れもないあなた自身です。試行錯誤して、納得のいく学習方法を見つけてください。
 最後に。学ぶ環境・学習環境を支えてくれている全ての人への感謝の気持ちを忘れずに、そして、「法律を学ぶこと」を楽しんでいだだけたらと思います。

辰已法律研究所 受講歴

【2021年対策】
・短答完璧講座(憲法)

【2020年対策】
・予備試験 スタンダード論文答練(第1・2クール)
・予備試験過去問答練(第1・2クール)
・短答完璧講座(民法・商法・行政法)

タイトルとURLをコピーしました