高得点をとれるようにする訓練も大切ですが、安定して合格点をとれるようにするという訓練も同じく大切です。

可知 稔基さん 受験歴: 新試験2回
法政大学法学部法律学科
法政大学法科大学院 【既修】2017年入学・2019年修了
【受講歴】スタンダード論文答練(選択科目)、司法試験全国公開模試 他

1 倒産法を選択した理由

 私が選択科目を倒産法にした理由は、実務でも必要不可欠な科目であると考えられ、司法試験後を見据えた点にあります。

2 倒産法のメリット、デメリット

(1) メリットについて
 先程、実務でも倒産法が必要不可欠と述べました通り、実務でも関わる機会の多い法律科目です。したがって、参考になる書籍及び弁護士の方からの指導を受けることのできる機会も多く、勉強のための良い環境が揃っているといえます。更に選択者も比較的多いので、ゼミを組むことや、勉強の相談に乗ってくれる先輩・友人を探すことも難しくないと思います。
 次に、倒産法の勉強を通して、民事系科目の知識を得ることができます。特に民法では、担保物権・詐害行為取消権及び相殺に強くなれると思います。民法改正により、詐害行為取消権と否認権(破産法および民事再生法でいう詐害行為取消権にあたります。)の規定で共通する箇所が多く増えました。したがって、倒産法選択者は、詐害行為取消権に関する理解が深いと思います。また、担保物権に強くなると、民法短答で得点が安定するという点で選択して良かったと思います。

(2) デメリットについて
 倒産法は勉強の範囲が広いと思います。破産法、民事再生法という2つの法律を勉強しなくてはなりません。手続に関する条文も多く、暗記しなくてはならない事項も多岐に渡ります。少なくとも司法試験に向けて短時間の勉強で済むとは言えないと思います。
 また、先程倒産法を通して民事系科目に強くなれると言いましたが、これは他面デメリットでもあります。民事系の基本的知識がないと倒産法に関する理解も進みません。
 選択者として、デメリットについて一応の弁解をさせていただきます。勉強の範囲が広いと申し上げましたが、破産法と民事再生法では共通する規定も多く、全く別の法律を勉強するわけではありません。両手続の性質を比較して勉強することで、双方効率よく勉強することができるとも言えると思います。

3 法科大学院での学習状況

 倒産法の講義を受講し、適宜過去問演習を行うという形でした。講義を担当してくださった先生が親切な方で、レジュメ等も丁寧に作られており、基本的な知識は授業で習得することができました。

4 受験科目として私がやって成功した倒産法成功法

(1) 私は手続の理解が苦手でした。特に債権届出手続あたりです。人によるとは思いますが、私は事例を頭に叩き込む勉強法が一番いいと思います。どうしても条文を読むだけではイメージし辛く退屈ですが、事例だとイメージを持てるので、記憶もしやすくなると思います。

(2) また、過去問演習は基本科目と同様に非常に重要であると思い、平成18年から令和元年まで、できれば起案し、そうでなくとも答案構成をするなどして演習に取り組みました。頻出の論点や手続がありますから、まずはそこを押さえて効率よく勉強できるようになりました。また、倒産法特有の出題傾向として、破産法と民事再生法の比較問題があります。他の基本科目にはあまり出題されない傾向の問題ですから、どのような方向で論述すべきか固めておいた点も、令和2年司法試験でも有利に働いたと考えています。

5 受験対策として私が使用した本

(1) 私は、辰已の『1冊だけで倒産法』を用いて過去問演習をしていました。同書籍の良いと思うところは、1冊だけでとのうたい文句のように、手続・定義等が簡潔にまとまっていることと、更には一定年度の過去問が上位答案付きで解説されているところです。私はまとめノートを作成する余裕がなかったので、同書籍の理由付け等を自分の言葉に書き換え(普段の私が使わない語彙があると暗記に支障がでるので、これを避けるため。)、適宜加筆するなどして、基本的な知識を定着させるようにしていました。また、単元ごとに過去問の出題年度が記載されています。これにより、過去問とリンクして規範等を記憶することで、具体的なあてはめを想起できるところも非常に優れていると思います。

(2) 基本書としては、『倒産法概説』と『民事再生法入門』を用いていました。過去問演習の際に、理解不足の単元があると思ったら適宜参照するという形で勉強していました。また、判例集としては、判例百選を主に用いていました。なお、『事業再生判例精選』という判例解説集も非常に参考になると思います。同書を単純に紹介すると百選解説をより詳細にした本という趣です。判例百選を参照し、わからないことがあったとき同書を見てみると良いかもしれません。

6 辰已講座の利用法とその成果

 私は、令和2年司法試験受験のために、2020年全国模試と2020年スタンダード論文答練(スタ論)選択科目を受講しました。
 スタ論及び全国模試は、3時間という本番通りの時間の制約の中、答案をまとめる訓練になります。まず、時間の制約が3時間という点で他の基本科目と異なり、個人的な感想になりますが、基本科目と比べ時間は余りやすいと思います。一方で、紙面は第1問及び第2問毎に4枚に限られ、大幅な訂正をすると最後まで書ききれないということも起こり得ます。以上のようなことを加味して、摘示する事実も含め十分に答案構成を行うことを意識していました。結果として3時間で上手く答案を作る技術を学ぶことができました。
 また、スタ論及び全国模試を通して基本的な知識を得ることができました。添削及び解説も充実しており、具体的なフィードバックを受けて、自分の足りないところを補うことができたと思います。特に、令和2年における第1問設問2と似た問題意識の問題が、2020年全国模試で出題されたと考えています。模試では解答筋から外れてしまいましたが、復習を行ったおかげで、本番では同問題に対して自信を持って解答することができました。
 以上のような講座の利用によって、令和2年司法試験における私の倒産法の点数は約65点と高得点を獲得することができました。

7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

(1) 皆さんにお伝えしたいのは、選択科目は司法試験の最初に解く問題であるということです。仮に司法試験本番で選択科目の出来に手ごたえがあれば、後の公法系科目で無理をせず済みます。私の考えかもしれませんが、特に憲法は安定しづらい科目であると思いますから、選択科目が安定して得点できるというのは、点数だけでなく、精神的なアドバンテージがあると思います。また、初回の論文科目という点で特に緊張しやすく、集中できるようになるまでに時間がかかるかもしれません。選択科目の勉強はどうしても手薄になりがちになるとは思いますが、上記のようなことを考慮し、決して怠ることなく勉強してほしいです。

(2) 私のリサーチ不足かもしれませんが、倒産法の過去問の参考答案は高得点のものばかりだと思います。参考にはなりますが、自分の実力からここまで書けるようにはならないかもと不安を抱えて勉強していました。上位答案を参考にするのは大切ですが、悪い意味で完璧主義にならないよう、採点実感でいう一応の水準をとにかく安定してとれる答案を作るという意識も必要だと思います。高得点をとれるようにする訓練も大切ですが、安定して合格点をとれるようにするという訓練も同じく大切だと思います。

辰已法律研究所 受講歴

【2020年対策】
・スタンダード論文答練(選択科目)
・司法試験全国公開模試

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