倒産法は、総合的に見てコスパ最強!

川村 将輝さん 受験歴: 新試験1回
創価大学
創価大法科大学院 【既修】2018年入学・2020年修了(2019年予備試験合格)
【受講歴】司法試験全国公開模試 他

1 倒産法を選択した理由

1 優秀な先輩合格者が多かったこと
 まず、私が重視した点は、人です。経済法と迷っていましたが、経済法と倒産法、いずれもそれぞれの面白さがあること、面白さの度合いも拮抗していました。
 しかし、決定打は、出身LSにおいて先輩合格者が多かったこと、その合格者の方々がいずれも上位合格されていたことです。なぜなら、私の中で選択科目を選ぶ際は、効率的に合格のメソッドを吸収することに重点を置いていたからです。

2 民事系が得意であったこと
 また、民事系科目が全般的に好きで、得意であったことです。先輩から、倒産法は民法や民事訴訟法の知識や思考を横断的に活用するような特性があると聞きました。
 そのため、私自身の得意な部分を活かすことができると考えました。

3 実務での活用可能性が高いこと
 倒産処理に関する案件は、個人あるいは法人を問わず、数として少なくないことが特徴です。そのため、どのような形であれ、弁護士になったときに、即活用することができ、幅も広がるのではないかと考えました。

2 倒産法を選択するメリット・デメリット(2つずつ)

1 メリット
(1) 民事系科目との相乗効果
 これは、最大のメリットであると考えています。倒産法の学習をする際には、民法や民事訴訟法を中心に、民事系法令の知識や思考が必要になります。そのため、倒産法の学習をしていると、随所で民事系の基本科目の知識を再確認することになります。
 民法でいえば、担保物権、保証債務・連帯債務の概念や構造の意味を深く理解することにつながりました。さらに、改正民法下では、特に詐害行為取消権の規律などで破産法等における否認権の制度設計が多くの部分でトレースされる形となっているなど、倒産法選択者が相対的に有利に立ちやすい分野も少なくありません。
 民訴の知識や思考の観点から言えば、倒産法も集団的な執行手続としての性質があることから、手続法における思考回路が役に立ちます。処分権主義、弁論主義、既判力といった基礎理論も、そのままあるいは形を変えて活用することができます。その他、執行・保全の知識も所々必要になる場面もあるため、より細かな知識を補充する機会にもなります。
 このように、民事系科目の知識や思考を横断的に活用しながら勉強することで、円環を成すような学習効果があります。繰り返す中で、民事系科目の実力が向上した実感があります。民事系科目が不得意であっても、逆にじっくり挑戦してみることで、民事系科目の実力向上につながると思います。

(2) 比較的高得点が狙いやすい
 倒産法は、得点しやすい科目であるという点も、メリットといえるでしょう。なぜ得点しやすいかというと、私の実感としては、次の3点だと考えています。1点目は、民事系基本科目と密接に関連し、かつ法律として体系的な構造が確立している点です。2点目は、判例や学説の集積がある領域が多々あるという点です。3点目は、民事系科目との親和性ゆえに、民事系科目の延長として基礎的な法的知識や思考の応用を問いやすい点です。
 こういった点から、倒産法は、出題分野も広く、配点項目が細かくたくさんあり、過度に専門性が高いともいえないため、基本科目の知識の延長で点数を拾っていくことができる可能性が比較的高いと考えられます。

2 デメリット
(1) 3か月以上の勉強期間が必要
 合格のために学習すべき範囲が、比較的広い点が挙げられます。私の実感としては、確実に合格するレベルの知識を会得するまでには、少なくとも7ヶ月かかりました。
 後で振り返ったとき、より効率的にインプットすることができたはずであるという反省を踏まえた勉強法を反映すれば、最低限の実力をつけるには5ヶ月程度まで短縮はできます。もっとも、出題者の想定する解答筋を看破し、50~60点以上の答案を書けるようになるには、5ヶ月ではギリギリ届くか届かないかというイメージです。
 そのため、十分に時間を確保できない受験生にとっては、不向きかもしれません。

(2) 周囲の受験生のレベルが高い
 倒産法選択者は、私の出身LSの先輩方のイメージかもしれませんが、受験生のレベルが高い印象です。民事系科目を得意とする実力者や、じっくりコツコツ勉強するタイプの人が多い傾向にあるという肌感覚もあります。基本科目と同等かそれ以上に知識が多い人もいます。
 そのため、比較的ハイレベルな受験生との戦いになる点は、デメリットになるかもしれません(私は、これをプラスに捉え、他の実力者と切磋琢磨して自分の実力向上につなげられると考えていました。)。

3 ロースクールでの勉強方法

 ロースクールでの倒産法の授業そのものは、大変わかりやすいものでした。そのため、ある意味表層的な部分だけで理解が完結してしまう側面がありました。結果、使える知識にするには不足がありました。そこで、講義を受けてインプットするだけでなく、演習の必要性を感じました。
 当時は、出身LSで、伊藤眞教授の倒産法の判例研究に関する授業がありました。私は、迷わず、当該科目を履修しました。内容は、倒産法に関する重要な論点に関する近時の重要判例を研究するというものでした。その中で、民法および民事訴訟法の基礎的な知識を丁寧に確認しつつ、倒産法の体系的な理解の上で重要なポイントを中心に理解を深めることができました。民法と民事訴訟法の知識・思考の横断的な活用力が鍛えられた結果、本試験の結果に繋がったと確信しております。

4 受験対策として私がやって成功した方法

1 過去問を2回以上解く
 倒産法は、過去問で頻出の論点があるなど、一定の傾向があります。例年、第1問が破産法、第2問が民事再生法からの出題です。それぞれ問題・法律によって、出題される分野、問い方などに共通点があったりします。
 例えば、破産法では判例を下敷きにした事案の設定、否認権の分野に関する出題頻度の高さ、再生法では破産との比較、再生計画に関する問題、その他担保権など民法上の権利関係の処遇などがあります。論点ごとの解法、検討の順序、得点効率の高い書き方などは、過去問検討を通じて会得しました。

2 演習ノートを体系的なインプットに利用する
 倒産法において、論点などの網羅性が高いテキストとして、『倒産演習ノート』があります。22問の事例問題を題材に、倒産法における基本的・典型的な論点に対する思考方法がまとめられています。体型的に理解しやすい順序であること、解説も充実していることから、単なる演習書というにとどまらず、一元化教材としての活用も可能です。
 多くの倒産法選択者が利用していることから、知識や思考の平準化という観点からも、ぜひ活用すべきだと思います。

3 『1冊だけで倒産法』の活用
 特に、辰已の教材である、『1冊だけで倒産法』は、勉強の効率化の上で非常に有効でした。論点の網羅性が高いこと、他方で手を広げ過ぎず、倒産法の出題傾向に合わせて各論点のボリュームが割かれており、合理的なテキストであると思いました。本番まで、過去問検討を踏まえた論証、判例百選でインプットした内容を追補しつつ、一元化教材として利用していました。
 上位合格者の答案例も付されており、実戦的な答案の書き方を吸収することができ、試験本番まで大変お世話になりました。

5 これから受験する人へのアドバイス

1 選択科目初学者へのアドバイス
 あまり決めつけ過ぎずに、最初は色々な科目に触れてみてください。選択科目を決める基準自体、人それぞれだとは思います。他方で、初めは基準がないという人もいると思います。そのような場合は、とにかく直感的に興味を抱いた科目について、薄い概説書に目を通してみるとよいです。
 決めた選択科目を学習する際は、とにかく効率性を意識した方がよいです。選択科目は1科目のみであって、基本科目の得点配分が高いからです。選択科目にドはまりし、あるいは不安感から過度に選択科目の勉強に比重を置いた結果、基本科目の対策がおろそかになり全体として合格点に届かなかった先輩もいます。
 そのため、選択科目で最低限狙いにいく点数を基本科目の得点力を踏まえて検討し、算出した点数に至るために必要な勉強をすることに注力することで、結果として全体最適になるでしょう。

2 今後受験する人へのアドバイス
 特に直前期は、選択科目だからということに囚われず、基本科目と総合して合格点を取るためにどの程度安定的に点数を取れるかという観点から、勉強のバランスを調整することが重要だと思います。

辰已法律研究所 受講歴

・司法試験全国公開模試
・総択
・スタンダード短答オープン
・予備試験短答模試

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