失敗と成功

膝舘 朗人さん受験歴: 新試験1回
東京大学法学部
2019年予備試験合格
【受講歴】スタンダード論文答練 司法試験全国公開模試 他

1 司法試験の受験を決意した経緯

 法曹の職業としての専門性の高さに惹かれて司法試験の受験を決意しました。大学入学当初は法学部への進学を意識していたわけではなかったのですが、教養学部でうけた法学の入門講義で法律学に興味を持ちました。これと従前からの専門性の高い仕事に就きたいという希望があわさり、司法試験を受験しようと思い立ちました。

2 予備試験合格までの学習状況

(1) 学部2年次の学習
 大学の講義や、基本書、参考書等を用いて基礎知識の修養に取り組みました。本を読み込むだけの学習は味気なく、モチベーションの維持が難しかったので、時折予備試験・司法試験の短答過去問を解くようにしていました。
 そうして学年が変わるころには基本7科目の基礎知識の学習を一通りおえることができました。この年の予備試験には出願していたもののこの段階では知識の詰めが甘く、合格点160点程度のところ、140-150点程度取ることを目標に勉強をすすめることにしました。学習一年目から予備試験合格を狙う方はもちろんいますが、私は自分の性格や能力、旅行など勉強以外の余暇に割く時間を考えて焦りすぎずに勉強をすすめることにしていました。

(2) 学部3年次の学習
 この年の5月に予備試験を初めて受験しました。結果は短答式試験に157点で不合格となったのですが、目標点が150点だったので勉強の方針が間違っていなかったものと確信でき、安心したのを覚えています。その後夏学期一杯はサークルの活動やアルバイト、旅行に時間を割いていたため思うように勉強をすすめることができませんでした。この頃から論文式の勉強を始めたのですが、夏学期中に手をつけられたのは憲法のみでした。
 9月の終わりに近づき、夏休みが明けると再び勉強中心の生活が始まりました。翌年の予備試験短答の対策に充てる時間を考えて3月までに論文対策を一応完成させることを目標に学習を始めました。論文式の対策としては旧司法試験の問題を題材に、答案構成をして、解答例を確認する、というサイクルを繰り返しました。予備試験論文試験本番直前には扱ったすべての問題について問題文をみれば大まかな答案構成が思いつくレベルまでやりこんでいました。また論文式の出題形式や試験時間に慣れることや、答案の書き方を身に着けることを目的に辰已の予備試験スタンダード論文答練(予備試験スタ論)を受講していました。当時は知識量が足りていなかったため知識の確認・演習の場として答練を活用することはできませんでした。

(3) 学部4年次の学習
 5月までは短答の対策が勉強の中心でした。とはいえ、この時期は中だるみがおとずれ、なかなか勉強に身が入らず直前期までだらけてしまいました。直前期の辰已の予備試験総択で合格推定点に及ばない点数をとってしまったことでやる気に火が付き、なんとか短答式に合格することができました。
 短答式受験直後からは旧司過去問を題材に論文式の勉強をはじめました。短答合格発表後からは予備試験論文式の過去問にも取り組み始めました。基本7法についてはフルスケールの答案を全年度分書き、実務基礎科目については時間がなかったので直近3年分についてはフルスケールの答案を書き、残りは答案構成を行いました。
 論文式受験後は学部の期末試験対策、夏休みに入ってからは私大ロー入試対策に時間を割いていました。ロー入試対策でも旧司過去問を利用していました。ロー入試がひと段落してからは旅行にいくなど息抜きの時間を設けていました。論文式に合格していることはあまり想定していなかったので口述対策はほとんどしていませんでした。
 論文式合格発表後からは口述対策を始めました。勉強の中心は民事では要件事実の暗記と手続きの暗記、刑事では構成要件の暗記と、手続きの暗記でした。暗記した知識を口述でアウトプットする練習として友人との過去問を題材にした口述試験の練習もしていました。無論、辰已の実施する口述模試も受験し、本番に備えました。

3 予備試験合格後の学習状況

 予備試験に最終合格した直後から選択科目の学習を始めました。基本書や参考書を読み込むことで基礎知識の習得に努めました。ただ、期末試験の時期が近付くと司法試験の学習は滞ってしまいました。また旅行に出かけていた時期もあったので、翌年2月までは本格的な対策には取り組めていませんでした。
 2月からは司法試験の過去問に取り組み始めました。5月の本番までの時間と出題傾向を考えて、2011年度までの過去問についてはフルスケールの答案を書くことにし、友人と自主ゼミを組んで互いの答案について意見を交換していました。辰已の司法試験スタンダード論文答練(司法試験スタ論)も受講していたのですが、時間が足りなかったので答案は書かず、答案構成にとどめていました。辰已の選択科目集中答練についても同様に答案構成のみ行っていました。時間がない場合は過去問を優先し答練については答案を書かないという選択肢もありだと思います。
 その後新型コロナの影響で司法試験が延期されると、残りの過去問の答案構成と、演習書、選択科目の強化に時間を使いました。この期間に知識を整理、再確認できたのはかなりありがたかったです。

4 受験対策として辰已講座の利用方法

(1) 予備試験対策
 予備試験スタ論、予備試験総択、予備試験論文公開模試(予備論公)を受講していました。
 予備試験スタ論は、予備試験の出題傾向を反映した出題がされており、過去問に取り組む前の練習題材として最適でした。試験においては、出題傾向や出題形式に対応することも、知識の習得に劣らず重要です。定期的に予備試験スタ論を受講し答案を書くことで出題傾向や形式へ十分対応することができました。
 予備試験総択は受験者数が多く、本番でライバルとなる受験生と競うことができるので自身の実力の相対位置を正確に把握することができます。また解説冊子の記述や分析も非常に丁寧で知識のインプットにも役立てることができました。
 予備論公についても自身の実力を客観的に把握するのに役立ちました。また、予備論公は他社の模試と比較して採点表が細かく、何ができていて何ができていないのかを把握することが容易でした。自身の答案に足りないところを客観的に把握できたことで直前期の学習の指針を立てることができました。

(2) 司法試験対策
 司法試験スタ論、選択科目集中答練、司法試験全国公開模試を受講していました。
 司法試験スタ論、選択科目集中答練は前述の通り、答案構成しか行いませんでしたが、過去の出題傾向を緻密に分析したうえでの出題がなされているため論点知識の確認に大いに役立ちました。採点表が細かいことで各論点の処理につき何をどこまでかければ評価されるのか把握することができ、知識の取捨選択ができました。
 司法試験全国公開模試については本番の練習としてフルスケールの答案を書きました。司法試験は予備試験とは出題形式や出題傾向が全く異なり、この差異への対応が予備試験ルート受験生の課題のひとつとなるのですが、直近の出題形式・傾向を反映した模試を実際に解くことで、司法試験に確実に対応できるようになりました。また、試験そのものの差異以外にも、司法試験と予備試験は実施形式が大きく異なり、この点についての対応も必要となります。五日間にわたり行われる司法試験では、想像以上に体力を消耗します。これを事前にも模擬体験できるという点でも模試は有用でした。

5 私がとっていた勉強方法

 特別工夫したことはなにもしていませんでした。暗記とアウトプットの繰り返しで知識の定着を図っていました。テキストや条文の読み込みだけで知識を身に着けられる人はそう多くないと思います。どのような形にせよアウトプットをして初めて知識を定着させられるものと思い勉強に取り組んでいました。

6 私が使用した本

 辰已の肢別本を利用していました。過去問集とは異なり、出題の重複がないので効率的に学習を進めることができました。また旧司時代の過去問も収録されているため、幅広い範囲について知識を身に着けることができました。
 肢別本のアプリも使用していました。スマホにアプリをダウンロードしておけば、通学時間など隙間時間にも短答知識を確認することができ、重宝しました。とくに司法試験直前期など論文式の対策に時間を割きたかった時期にはとくに役に立ちました。

7 反省を踏まえたアドバイス

(1) 学部生・予備受験生へのアドバイス
 学部生として予備試験の合格を目指す場合、大多数の同級生に比べ勉強に割かなければならない時間が多く、我慢を強いられる生活がつづくことになるかと思います。しかし、息抜きの時間と勉強の時間のメリハリがつけられれば合格は十分可能だと思いますし、なにより、学生生活は戻ってきません。余暇と勉強とのあいだでバランスをとれる点を探しながら勉強をすすめることをおすすめします。
 ただし、油断すればすぐに足元をすくわれるのが受験です。私も学部4年次の短答式直前直後は自身のそれまでの生活を省みるばかりでした。そうならないためにもあくまで本分が勉強にあることをわすれないでほしいです。

(2) 予備試験合格後の司法試験受験生へのアドバイス
 予備試験合格者の司法試験合格率はどのロースクールよりも高く、予備試験に合格していることは司法試験合格を目指すにあたっての安心材料になるのは確かです。しかし、司法試験は予備試験に比べて科目数も増え、試験時間も長く、出題傾向も異なります。合格率が高いといえど、少なくない人数は不合格となってしまうわけで、対策を怠ることは決してあってはなりません。私は上述のとおり2月まで司法試験にろくに取り組んでいなかったため、周囲との実力差を如実に感じ、精神的にかなりつらい時間を過ごすことになってしまいました。実際、延期がなければ合格も危うかったかもしれません。このような状況にならないためにも後進の皆さんには堅実な受験生活を送ることをつよくおすすめしたいです。予備試験に合格できたのであれば司法試験までの期間程度、集中して勉強するのは簡単だと思います。
 厳しいことを書いてしまったかもしれませんが、逆にいえば司法試験は堅実に学習をすすめていけば順当に合格することができる試験です。予備試験に合格されたかたはみな堅実に努力を積み重ねられる人だと思います。皆様の成功をいのります。

辰已法律研究所 受講歴

【予備試験対策】
・予備試験スタンダード論文答練
・論文公開模試
・予備試験 総択

【司法試験対策】
・スタンダード論文答練
・司法試験全国公開模試
・選択科目集中答練

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