考えながら勉強する

K.Tさん 受験歴: 新試験1回
東京大学法科大学院法学政治学研究科 【既修】2019年入学・2021年2月中退
予備試験2019年合格
【受講歴】選択科目集中答練

1 司法試験の受験を決意した経緯

 法曹という職業に興味を持ったのは、中学生の時に『HERO』という映画を見たことがきっかけでした。冗談のようですが、このドラマ・映画を見て、検察官に憧れを抱くようになりました。その後、足利事件の再審がメディアを賑わせました。このニュースをみて、罪のない人が不要な罰を受ける中、真犯人が罰を受けていない状況に強い憤りを覚え、自らが検察官となることで、社会正義を実現したいと考えるようになりました。こうして、法律に関わる仕事をしたいと考えるようになりました。
 その後、中央大学の附属高校に進学し、楽しく3年間の青春時代を過ごしました。そして大学に進学する際に、ふと、受験の解放感に満ち溢れながら遊んでいる同級生をみて、自分はまだ何も頑張っていないことに気づきました。幸い、高校生活を遊んで過ごしたため、「勉強したくない」という気持ちが全くなく、大学生活は何か有意義なことに使いたいと考えました。そのとき、中学生の時に抱いた憧れを思い出し、司法試験への受験を決意しました。

2 予備試験合格までの学習状況(法律学習)

 中央大学には、炎の塔という司法試験に向けて勉強する学生の集まりがあり、まずはそこに所属しました。その中で、先輩方の多くが予備試験を目指していたため、自然と自分も予備試験の合格を目指すようになりました。
 学部2年生の時に、まずは雰囲気を知りたいと思い、初受験しました。この時点では上3科目しか学習しておらず、合格できなかったのは当然です。しかし、民法の点数がそれなりに取れたため、手の届かない試験ではないと感じました。
 翌年の受験は一応全科目回した後でしたが、勉強不足ゆえ140点程度でした。そして、学部4年の時点で、ある先輩から『そんなに勉強してるのに択一も受からないのはヤバいよ』といわれ、この言葉が刺さり、本気で択一合格を目指すようになりました。辰已の短答過去問パーフェクト(以下「パーフェクト」)と肢別本を購入し、科目によって使い分けました。憲法は、人権についてはパーフェクト、統治については肢別本を利用しました。人権は最新の判例をマスターする必要があるため、パーフェクトが適していますが、統治については細かい知識が問われる可能性があり、旧司時代に問われた肢の演習をすることが有益だと考えたからです。
 民法は肢別(短答知識が論文に生きることもあるから、しっかり学習する)、刑法・刑訴はパーフェクト(新司の過去問だけで足りる。長文問題はパーフェクトの出題形式の方が練習になる)、民訴と会社法もパーフェクト、商法と手形小切手法は肢別本(絶対に出題されるので、得点源にするためにできるだけ多くの肢を解きたかった)、行政法はパーフェクト…というように使い分けました。
 そして、試験日からかなり余裕をもって逆算した勉強計画を立て、頑張って実践しました。幸い学部4年生は時間があったので、基本的に計画通りに進めることができ、試験まで1週間を残した段階で各科目5周することができました。そして挑んだ短答式試験は、177点で合格することができました。
 問題は論文式試験です。正直、心のどこかで「短答には受かったから最低限は達成したな」という満足感があったように思います。そのため、せっかく辰已で行われている公開模試を受講することもせず、過去問も半分くらいしか解かずに本番に向かいました。
 結果は惨敗。おおむね1000位ほどの順位でした。準備不足は重々承知でしたが、やはり今のままでも合格できるのではないかという期待がありました。しかし、その自信・期待がへし折られたのを感じ、真剣にロー既修2年生での最終合格を目指すようになりました。
 そして、基本となる民法については、辰已の旧えんしゅう本を10周はしました。こうすることで、科目を俯瞰することができ、民法全体についてのリーガルバランスが養われたように思います。そして、予備試験の過去問について辰已のぶんせき本を利用して徹底的に解きました。特に、前年において、実務基礎科目がFだったので、実務基礎科目についてはかなり重点的に解きました。論文で不合格となった時の体感としては、苦手な科目・分野・論点があると合格しづらいということです。どんな科目のどんな論点が出題されても人並み(Cくらい)は書けるように準備をすることが大切だと痛感しました。そのため、苦手分野をなくすことに注力しました。これに関しては辰已の趣旨規範ハンドブックを基準とし、これに記載されている知識は完璧にしました。もちろん、公開模試も受講しました。
 結果、440位というギリギリの順位ではありましたが、見事合格することができました。正直ロースクールの授業との両立が大変で、合格ラインに届いていないと思っていたので、かなり嬉しかったです。
 ただ、願掛けの意味も込めて口述に向けた勉強はしていたので、割と余裕をもって準備をすることができました。論文の合格発表後は、真っ先に辰已の校舎に出向き、口述模試の申込をしました。模試は本番さながら(もしかしたら本番よりも高い緊張感)であり、非常に練習になりました。
 そして、模試の成果を発揮して口述も無事合格し、最終合格を手にしました。

3 予備試験合格後の学習状況(法律学習)

 まず一番の不安が選択科目でした。ロースクール卒業生が時間をかけて学んでいるのに対して、短い時間で準備しなければなりません。そのため、辰已の選択科目集中答練(全8回)を受講しました。私は経済法選択でしたが、経済法は適用条文を適切に選択する練習が必要です。選択科目集中答練は、この練習に最適でした。過去の答練受講者の優秀答案や、充実した解説資料は大変ありがたかったです。自主的に2周目も取り組みました。
 あとは、経済法の過去問を全ての年度について2回ずつ解きました。
 基本科目については、法律的な知識の補充は苦手科目に絞り、基本的には過去問を用いた事案分析能力の向上を意識しました。過去問を解いていくなかで、法律的な知識の不足よりも、事実関係を正確に分解できず、それゆえ知識を活かせない…という場面が多いと感じたからです。なので、ぶんせき本を参考にしつつ、問題文の事実の意味をくみ取る練習を心掛けました。
 結果、司法試験には、予備試験と比べると上位で合格することができたので、正しい方向性の勉強だったのかなと思っています。

4 受験対策として辰已講座の利用方法とその成果

 辰已の講座を利用することで、自分の相対的な位置を把握することができます。特に模試や答練では、優秀な受験生の答案を参照できるのが良いです。同じ論点についての論証でも、点数の入る書き方、入らない書き方、読みやすさ、原則を大切にしているか等、学ぶべきことが多くあります。
 それと、指摘を素直に受け入れるということです。優秀答案から学ぶこともそうですが、辰已には優秀な講師の先生方がいらっしゃるので、帰ってきた答案に付されたコメントは素直に受け止め、できるだけ多くのことを吸収してください。
 経済法の答練について、上記のような意識で取り組んだ結果、司法試験本番では1桁順位をとることができました。これは確実に答練の成果です。

5 受験対策として私がやって成功した方法

 学部1・2年生の間は、漫然と勉強をしている時間が多かったです。大学受験を経験していないため、そもそも勉強の仕方について忘れていました。そのため、最初のうちは「勉強の仕方を勉強する」ような感覚でした。そして勉強を続けていくうちに、次第に「効率的な方法を考えながら実践していく」ことの有用性に気づきました(早期合格者の方は、最初から実践していたのだろうと思います)。以下では、実践した勉強方法についていくつか述べます。
 まず、比較法です。物事は、対照的なものや、類似するものと比較することで、よりそのものの特性をはっきり認識することができます。これを、法律学習でも行ってみようと考えました。例えば、民訴と刑訴で手続きを比べてみたり、論点同士比べてみたり(行政法と刑訴では、同じ「違法性の承継」という概念が出てくるが、両者どのような違いがあるのか)しました。これにより、様々な知識が紐づきあって、学習効果が高まったように感じます。
 また、スケジュール管理としては、かなり余裕をもってプランを組みました。例えば、予備択一に向けた計画を立てる際には、3週間ほど予備日を設けていました(その分手を出せる範囲が限られるのもやむを得ないです)。私は多くの場合、予期せぬ用事や学習の遅れで計画倒れしてしまいますが、余裕を持ったプランを組むことで、司法試験の勉強については、基本的に計画通り進めることができました。
 ただ、上記のような方法は、たまたま私にマッチした方法に過ぎません。そのため、受験生の皆さんそれぞれが、自分にあった方法を模索しながら勉強をしていくしかないでしょう。ただし、この「考えながら勉強をする」という方法だけは、誰にとっても有益な方法だと思います。

6 受験対策として私が使用した本

全科目:趣旨規範ハンドブック、えんしゅう本、ぶんせき本、肢別本、パーフェクト、判例百選
民法:『Before/After』『詳解民法』
刑法:『事例演習教材刑法』『基本刑法』
憲法:『憲法ガール』『憲法の地図』
民訴:『基礎演習民事訴訟法』『重点講義』
刑訴:『事例演習刑事訴訟法』『リーガルクエスト』
会社:『会社法』(田中亘)、『ロープラクティス商法3版』
行政:『基礎演習行政法』『実践演習行政法』
経済:『経済法入門』

7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

① 学部在学生・予備試験受験生へのアドバイス(在学中にやっておくべきことなど)
 まずは、最終合格までの期間を確認することです。ゴールを設定し、迫ってくる期間から逆算して勉強計画を立てなければ、実現可能な勉強計画を立てることはできません。
 そして、まずは手元の教材・演習書を何回も繰り返し解いてください。むやみに勉強の手を広げてはいけません。
 また、基本となる教材を周回する合間に、過去問に着手しましょう。完璧な知識のある状態で解く必要はありません。解けなくても、過去問というゴールを知ることが大切です。私は「過去問は難しいだろうから、後で解こう。今解いてしまっては、数に限りのある過去問を無意味に消費してもったいない」と考えていました。この考えのせいで、早期合格を逃してしまったように思います。わからなければ、テキストや基本となる演習書に戻れば大丈夫です。まずは、敵を知りましょう。
 そして、己の性格を加味しつつ、立案した計画を実行してください。ここに関しては頑張るしかありません。本気で合格したいのであれば、本気で計画を立て、本気で実行できるはずです。

② 予備試験合格の司法試験受験生へのアドバイス(試験当日までの過ごし方など)
 まずは合格おめでとうございます。予備試験の司法試験合格率は極めて高く、皆さんもほぼ確実に司法試験に合格できるでしょう。
 しかし注意すべきなのは、予備試験合格者は「このまま司法試験に向けた勉強を継続すれば」司法試験に合格する可能性が高い人達なのだということです。決して「予備試験受験時の実力でそのまま司法試験に受かる」という意味ではありません。体感としては、予備試験と司法試験は、別の山を登っているようでした。難易度が全く違います。
 そのため、まずは司法試験の過去問に着手してください。おそらく、難しくて不安を感じるでしょう。しかし、大丈夫です。事案を分析し、法律関係がどのように絡み合っているのか一歩一歩確認してください。予備試験に合格できた皆さんなら、事実関係さえ把握すれば、法律構成については必ず何らかの答えを想起できます。
 そして、選択科目について早急に対策してください。ロー卒業生と本試験で対等に戦うためには、かなり本気の勉強が必要です。過去問を解き、演習を繰り返してください。
 就活等も平行すると時間が足りないとは思います。しかし、あと一歩のところまで来ています。最後まで頑張ってください。応援しています。

辰已法律研究所 受講歴

・選択科目集中答練

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