試験と向き合う

鬼﨑 隼さん受験歴: 新試験3回
中央大学法学部国際企業関係法学科
東京大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻 【既修】2016年入学・2018年修了
【受講歴】スタンダード論文答練 福田クラス、司法試験全国公開模試

1 受験を決意した経緯、合格までの道のり

 もともと法曹への興味はなく、高校時代は官僚になることが目標でした。しかしながら、入学先に決まった中央大学法学部が法曹界の名門であることを知り、そこから司法試験について調べるなどして、入学式の時点では何となく司法試験を目指してみようかと意識し始めていました。
 入学後、多摩キャンパスの学食前の通路を歩いていると、司法試験受験団体を標ぼうする研究室なるものが入室希望者を募っているのを見かけ、ちょうど窓口が空いていた済美会研究室に話を伺うことにしました。まだ、司法試験を目指すことを決めていたわけでもなかった私でしたが、受付をされていた女性の先輩に「はっきりしていない段階でも研究室には入っていた方が良い。後々目指そうと思っても高学年になってから研究室に入るのは仕組み上難しいから。」と言われるがまま、おすすめされたいくつかの研究室に申込みました。結果的に中櫻会研究室に入室することになりましたが、この先輩に勧められていなければ、現在まで法曹を目指し続けることはなかったかもしれません。
 無事入室はできたものの、なかなか勉強に身が入らず、また、勉強をしてもなかなか身につかず、自分はこの業界に向いていないのではないかと悩んだ時期もありました。しかし、たくさんの優秀な先輩や友人に恵まれたこともあり、なんとか勉強を継続することができ、大学4年のロースクール入試を迎えることになりました。最初に受けた中央大学と慶応大学は、過去問を解く段階からさっぱりで、どこにも合格できないのではないかと不安な日々を過ごしていました。結果も、中央には合格できたのですが、慶応は補欠合格にとどまりました。しかし、当時実施されていた適性試験に救われた形で、最終的には東京大学ロースクールに入学することになりました。
 ロースクールに入学してからは、それまでの反省を活かして勉強にすべてをかけようと決めていたのですが、新しく出会った友人たちと過ごすことが楽しく、最低出席日数を守るためだけに授業に参加し、夜は遊ぶという日々を過ごしてしまいました。早い段階から自主ゼミを組むなどして、過去問に取り組むべきであったと後に強く後悔することになります。
 楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、気が付けばロースクールの卒業式が目前に控えた状態となりました。そこで周囲の友人とともに慌てて過去問を検討するゼミを組み、春の試験に向けて勉強を開始したのですが、予想以上の実力不足により、勉強は思うように進まず、ゼミでは足を引っ張り、模試はE判定と散々な日々でした。
 なんとか間に合わせたと信じて、受験会場に向かったのですが、結果は短答式試験での足切り。周囲が試験の慰安旅行に旅立つなか、早くも6月の時点で私は受験生活に戻ることとなりました。しかし、一人ではなかなか勉強が手につかなかったため、論文の結果発表まではアルバイトを増やすなどして、ひとまず英気を養うことにしました。
 論文の結果発表後、不合格だった友人に声をかけ、勉強を再開しました。それ以降は、アルバイトや遊ぶ時間をなるべく減らし、人生で一番と言っていいくらい法律の勉強と向き合う日々を送りました。友人とのゼミでは、各論点について納得のいくまで議論し合い、自分たちなりの結論を出すようにしていました。このような時間は、知的好奇心を非常に刺激し、本来はつらかったであろう浪人生活を、それなりに楽しいものにしてくれました。そして、現役時と比べて圧倒的に増えた知識を携えて臨んだ2回目の司法試験。本番では四苦八苦することはあったものの、何とか足掻くことができたと思い、合格しているものと信じていました。しかし、結果は論文で不合格。またしても私は受験生活に戻ることになりました。
 自分に足りないのは法律知識であると決めつけて臨んだ受験が失敗に終わったこともあり、3回目の受験生活は、自分に足りないのは何なのかを再度考えなおすことから始まりました。そして至った結論は、司法試験にきちんと合わせた準備をすること。シンプルですが、試験対策という当たり前のことを今一度意識して臨もうと決めた一年でした。それまでの私は、法律をきちんと理解している人間が司法試験においても評価されるはずであると考え、自分の疑問点をとことん追求し、自分なりに納得するまで文献を読み漁るというスタイルで勉強をしていました。確かに、理解していないことを答案に書いても評価されにくいという意味で、このようなやり方にも正しい面がありました。しかしながら、人間の記憶力には限界があり、特に私のような平凡な人間にとっては、実際にそれまで学んだ知識のすべてを試験会場に持っていくことは不可能でした。また、試験には時間的な制約あり、自分の知っていること、書きたいことをすべて答案に書くことも困難です。そういった意味で、完全な答案を目指すのではなく、知識の有無に左右されない、「すべらない答案」(私が受講していた辰已のスタンダード論文答練の福田クラス(辰已専任講師・弁護士 福田俊彦先生ご担当)では現実的な合格答案をこう呼んでいました。)を目指すべきであると考えるに至りました。このようなスタイルは、知的好奇心という意味ではある意味つまらない勉強法ですが、今年で絶対に終わらせるという強い気持ちを持って、歯を食いしばって方針転換を行いました。このような決心を経て、勉強をする際は常に本番での出題を意識し、採点基準を念頭に置く、そういったスタイルが習慣化し始めたあたりで、答練や模試でも安定して良い評価が取れるようになりました。今年こそ行ける。そう信じて最後の追い込みに差し掛かった辺りで、コロナ拡大による緊急事態宣言の後、司法試験の延期が決まりました。単純に考えると準備期間が増えたのであるから、リズムだけは崩さずに、自分の決めた当初の方針に従って淡々と勉強を進める。当時のことはまだ記憶に新しいですが、延期後も早い段階でそう心に決め、そう自分に言い聞かせて勉強を継続できたことが大きかったように思います。そうして本番を迎え、3回目の挑戦で合格することができました。

2 法科大学院受験前の学習状況

 大学1年時から、炎の塔中櫻会研究室に所属し、先輩の主催するゼミに顔を出していました。しかしながら、当時は所属していたアメリカンフットボールサークルやアルバイト、友人との飲み会の方が楽しかったこともあり、ゼミは休みがちで、自習なども特にしていなかったように思います。
 しかしながら、大学2年いっぱいをもってサークルを引退し、大学3年から本格的に勉強を始めました。なかなか思うように勉強が進まなかったのですが、当時予備試験の最年少合格を決めた同期や先輩方から論文指導を受ける等、たくさんの周囲の助けを受け、何とか法科大学院に進学することができました。今になって思うことですが、知らない論点や範囲がかなり多く、受験時も杜撰な法律論をとりあえず書いたというだけでした。そんな私が法科大学院に入学できたのは、勉強のよくできる友人や先輩から答案の書き方をしっかりと指導してもらえていたからだと思います。

3 法科大学院入学後の学習状況

 法科大学院入学当初はやる気に満ち溢れていたのですが、途中から失速し、気づけば単位さえ取れればよいという考えに変わっていました。日々の勉強も、ソクラテスに対応するための最低限の予習と、期末試験対策周囲がのんびりしていたのもありますが、司法試験対策として過去問の演習を本格的に始めたのも、最終学期の期末試験後(2月初め)でした。過去問の演習は、答案作成から検討まで基本的に友人と組んでいた自主ゼミ内で行っていました。自分の不出来を知る意味でも、日々のリズムを作る上でも、このような自主ゼミの存在は大きかったように思います。

4 受験対策 辰已講座

・スタンダード論文答練 福田クラス
 知識の有無に左右されず、安定して合格できる現実的な答案を目指すという福田先生のコンセプトは、まさに知識偏重だった2回目の受験から方針を変えようとしていた私にとって、本当に意味のあるものとなりました。

・全国公開模試
 準備を本番に間に合わせるには、やるべきことをシンプルにしなければなりません。本番の少し前の時期に実施される全国公開模試に一旦照準を合わせ、自分の勉強に無駄がないかその段階で再確認するためにも、全国公開模試を利用するのが良いと思います。また、自分の弱点ややりたくないことから無意識に逃げてしまうのが人間の性ですが、そういうものを直視するいい機会にもなったと思います。

5 受験対策 私がやって成功した方法

 過去問演習の際は、採点基準を常に念頭に置き、問題全体における各論点の位置づけを意識するようにしていました。出題趣旨・採点実感を読む際も、いわゆる一応の水準といった受験生の相場観を意識するだけでなく、その論点を書かないことが配点上どのような重みをもつのかについても注意するようにしていました。2回目の受験時は、答案のバランスが非常に悪く、途中答案になってしまったり、厚く書くべき論点を妥協せざるをえなかったりしていましたが、このような訓練を積んだおかげか、今年の模試・本番ではかなり安定した答案を書くことができたように思います。

6 受験対策 私が使用した辰已本

・短答過去問パーフェクト
・辰已肢別アプリ
・ぶんせき本

7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

 自分が勉強したいものだけを勉強し、やりたくないことをやらないのは簡単です。しかし、なかなか合格できない原因は、たいていそれまでの自分が避けてきたところにあるものだと思います。
 法律はとても興味深いものですし、本来は司法試験という枠内で語ることはできないくらい壮大なものです。しかし、私たち司法試験受験生は、あくまで試験に合格することを目的に勉強しなければなりません。本当につまらない話ですが、司法試験という形での評価だけが司法試験受験生になされる評価なのだと割り切る必要があると思います。

辰已法律研究所 受講歴

・スタンダード論文答練 福田クラス
・司法試験全国公開模試

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