法科大学院未修コース修了者の対策法

加藤 將之さん 受験歴: 新試験2回
関西学院大学法学部
上智法科大学院【未修】、2016年入学・2019年修了
【受講歴】スタンダード論文答練 司法試験全国公開模試 他

1 司法試験の受験を決意した経緯

 大学進学について検討する際、いわゆる「手に職」つけて就職したいと考えたところ、高校の授業を通して法律に興味をもったことや昔から弁護士・検察官を題材にしたドラマが好きだったことから、司法試験(+公務員試験等の各種試験)の受験も見据え、法学部への進学を決めました。
 大学時代は、親元を離れ慣れない一人暮らしを始め、大学の講義やアルバイトに忙殺される中、なかなか司法試験へ向けた勉強をスタートすることができませんでしたが、3年生の冬頃、司法試験合格を目指し、早期卒業して法科大学院へ進学することになった同期たちの熱意に触発される形で、自分も司法試験を受験すべく法科大学院への進学を決めました。ただ、法科大学院の既修コースの試験を受けるための準備期間が足りないと感じたので、未修コースに絞って、出願することとしました。

2 法科大学院受験前の学習状況(法律学習)

 受験を決めるまでの間、大学の単位を取るために必要な程度には法律の勉強をしていましたが、そこから一歩踏み込んで、司法試験へ向けた学習をすることはなかなかできませんでした。
 受験を決めた後も、手元にある基本書を読んだり、ゼミのために判例評釈等を読んだりしてある程度法律には触れていたものの、本格的な学習は、法科大学院入学後から始めることとし、むしろ入学後の生活を考え、アルバイトの頻度を増やしていました。

3 法科大学院入学後の学習状況(法律学習)

 1年次は、基本7科目の講義内容に合わせて、基本書を何度も読むことで基本的知識を付けようとしました。しかし、何度読んでもなかなか知識が定着せず、また情報検索にもいちいち時間がかかって非効率的でした。
 そこで、辰已の趣旨規範ハンドブック(まずは刑事系)を購入し、基本書や講義で学んだ知識等を集約することにしました。趣旨規範ハンドブックは、重要条文の趣旨・要件・効果、重要論点についての規範等がコンパクトにまとまっており、そのままでも十分有用でしたが、私はこれをベースとして、本番直前に見返せるようなまとめノートになるよう、適宜情報を追加・削除していました(最終的には、受験会場に同ハンドブックだけ持っていけば大丈夫と思えるレベルでまとめることを目標としていました。)。
 その後、順次公法系・民事系も購入し、同様の作業を行って、情報を集約していました。
 2年次以降は、上記集約作業を継続しつつ、演習書を用いた問題演習や過去問検討を行うようになりました。ただ、得意科目であり上記集約作業も進んでいた刑事系については、順調に問題演習等ができていた一方で、苦手意識があった公法系・民事系については、なかなか問題演習等がすすまず、科目ごとに偏りが出てくるようになりました。また問題演習等は、同期とゼミを組んで行うこともあったものの、その頻度は少なく大半は一人で行っており、自分の答案を他人に見てもらう機会に乏しかったため、自分の実力が十分かという点について不安を感じていました。
 そこで3年次の9月頃、公法系・民事系を中心に問題演習の機会を増やすこと、自分の答案を客観的に評価してもらうことを目的として、辰已のスタンダード論文答練を受講することとしました。
 スタンダード論文答練は、司法試験頻出論点を中心に、かつ司法試験本試験の出題形式に近い形の問題が揃っていることや(校舎で受講すれば)きっちり2時間後には答案を回収されるという本番同様のプレッシャーの下問題を解くことができることから、本番へ向けたより実践的な訓練をすることができました。
 しかし、結局、1回目の試験は不合格に終わってしまいました。

4 失敗した原因について

 1回目の受験に失敗した大きな原因として、自らの答案を分析することを怠ったということが考えられます。
 スタンダード論文答練に限っていえば、評価が良好だった答案もあれば、一方で酷評された答案も山ほどありましたが、それらが返却された際、いい部分ばかりを探して満足していたことは否定できませんでした。いい点数の答案であれば、「点数が高いからよし」、悪い点数の答案であっても「ある部分は評価されているからよし」といった感じで、悪い部分から目をそらしてしまっていたせいで、せっかくの採点の機会を無駄にしてしまいました。
 後々その時の答案に目を通してみれば、科目・点数の良し悪しに限らず、「規範部分はしっかり書けているが、あてはめが薄い」だとか「問いにしっかり答えてください」等のコメントが付されるものが多くありました。答案を返却された時点で、しっかりとその点を意識し、改善していけば合格の可能性もあったかもしれませんが、「まあなんとかなるだろう」と思ってしまったことが、自らを不合格へと導いてしまった大きな要因だと思われます。

5 リベンジ合格へ向けた学習方法(論文)

以上の反省を踏まえ、「自らの答案をきちんと分析すること」「あてはめの強化」「問題の意図に沿った答案を書く」を目標に学習を再開しました。

(1) 過去問については、あまり手を広げすぎず、直近数年分に絞ってやりこむことを目標としました(公法・民事系は3~5年程度。刑事・経済法については以前からの積み上げもあったため、平均5年以上)。
 その際、できるだけ2時間計って解き、自分の書ける分量の限界や内容の精度等を確認するようにしました。その後、辰已の「ぶんせき本」を用いて、出題趣旨・採点実感・参考答案を読み込みました。
 「ぶんせき本」は、科目・設問ごとに出題趣旨・採点実感がまとめて掲載されているため、両者を照らし合わせて、出題者が受験生に何を求めていたかを検討する際に便利でした。
 また、参考答案は、複数人のものが順位ごとに並べて掲載されており、理想の答案・現実的答案・不合格答案をイメージするのに役立ちました。
 超優秀答案については、自分が本番で同様のレベルの答案を書き上げることは難しいと感じていたため、そっくりそのまま参考にすることはほとんどありませんでしたが、規範部分の言い回しで自分も使えそうだと思ったものを趣旨規範ハンドブックにまとめるなどしていました。現実的答案・不合格答案については、採点実感と照らし合わせながら、良好ないし一応の答案となるために最低限必要なことは何かということを検討するのに用いました。

(2) 答練については、1回目と同じくスタンダード論文答練を11月から3月にかけて受講しました。その際、「問題文をきちんと分析し、その意図に沿った答案を作成する」「配点に沿った分量にする」ことを目標としました。また、返却された答案は、コメント含めてきちんと読み返し、本番で合格答案を書くために今必要なことは何かということを考えていました。

(3) 知識面の強化については、問題演習を通して、不足していると感じた部分を中心に行うことにより、必要以上に手を広げすぎてしまうことをなるべく防ぐようにしました。ただ、全体的に不安に感じた科目(民訴・憲法等)については、多少時間はかかっても、基本書やロープラ等の簡単な演習書を1周して、きちんと基本的事項を確認するようにしていました。

(4) 令和2年の試験は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、延期を余儀なくされましたが、延期後もすでに検討した過去問も含めて、時間の許す限り同様の作業を続け、答案作成の精度を上げていきました。また、過去問を検討して気づいた、自分のよくやってしまうミス等本番で気を付けるべきことを科目毎にA4用紙1枚に入りきる程度にまとめ、本番直前にチェックできるようにしました。

6 短答式試験の対策

 基本的には、市販の過去問集を周回しながら判例六法(憲法については他科目に比べて学説問題が多いため、市販の条文毎に情報が整理された書籍)に情報を集約しました。
 具体的には、①条文、判例のうち、問題の正誤を分ける部分・キーワード等に線を引いたり、周辺の余白に注意点(類似概念・他制度との比較等)を記入したりする②複数回間違える肢については、当該条文・判例に目立つようにマークする③何回も正解する問題は省き、間違えやすい問題に絞る等の作業を行いました。
 また、より実践的な訓練の場として、辰已のスタンダード短答オープン(スタ短)第2クールおよび司法試験総択を受講しました。
 スタ短および総択の出題は、過去問で出題のあった分野に限定されず、特に民法・刑法において過去未出題の条文も扱うなど、より広範囲にわたっていたため、過去問集を周回するだけでは触れることのなかった条文にも触れることができるいい機会でした。
 そして、本番直前(1~2か月前)には、改めて過去問集を1周した後、間違えた問題を中心に周回を継続するとともに、間違いやすい分野をピックアップして、短答本番前日に最終チェックする部分を絞り込みました。

7 上記で触れた以外に使用した主な書籍(百選除く)

憲法:基本憲法、憲法ガール
行政法:基本行政法、基礎演習行政法
民法:民法の基礎、担保物権法(松井宏興)、債権各論Ⅰ・Ⅱ(潮見佳男)、民法Ⅵ(リーガルクエスト)
商法:会社法(リーガルクエスト)、事例研究会社法
民訴法:民事訴訟法(リーガルクエスト)、Law Practice民事訴訟法
刑法:刑法総論(山口厚)、刑法各論(西田典之)
刑訴法:刑事訴訟法(リーガルクエスト)、事例研究刑事法Ⅱ刑事訴訟法
経済法:経済法入門、1冊だけで経済法(辰已)

8 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

 私が1回目で合格できなかったのは、上記のようにインプット・アウトプットの両場面において、目的意識をもたず学習してしまっていた期間が長かったからだと考えられます。本番で合格答案を書くために、何が必要なのかということを常に考え学習することが、合格への近道だと思います。
 これから司法試験を目指される方、もしくはリベンジされる方にとって、本合格体験記が参考になればうれしく思います。皆さんのご健闘をお祈りしております。

辰已法律研究所 受講歴

【2018年対策】
・スタンダード論文答練(第1・2クール)
・司法試験全国公開模試
・司法試験総択
・スタンダード短答オープン(第2クール)

【2019年対策】
・スタンダード論文答練(第1・2クール)
・司法試験全国公開模試
・司法試験総択
・スタンダード短答オープン(第2クール)

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