司法試験は、心折れずにコツコツと積み重ねていけば合格できます。

H.Mさん 受験歴: 新試験5回
明治大学法学部
明治大学法科大学院 【未修】2013年入学・2016年修了
【受講歴】2020年司法試験全国公開模試

1 司法試験の受験を決意した経緯

 高校生の時に検察官や弁護士に憧れ、大学は法学部に入学しました。入学後は漠然とした夢として法曹を考えている程度でしたが、最終的に自分の進路を考えたとき、やはり法曹界で働きたいと思い、大学3年生から司法試験に向けて本格的に勉強を開始するようになりました。

2 法科大学院入学前後の学習状況

 法学部で基本的な法律の講義は受けていたのですが、いざ司法試験を目指そうと決めたとき、学んだことのほとんどが身についていませんでした。そのため、まずは講義で使っていた基本書やノートを見直し、学んだことを思い出すところから始めました。
 法科大学院に入学した後は、毎日が予習、復習、課題、発表のためのレジュメ作成など、やることが多く目の前のことをこなすのに精一杯になっていました。そのため、授業がある時はそちらに全力で集中し、長期休暇中に友人と自主ゼミを組み、演習書をこなしたり時間を計って起案したりするなどアウトプットを忘れないようにしました。在学中の自主ゼミでは、『憲法の急所 権利論を組み立てる』(羽鳥書店)や『事例で考える会社法』(有斐閣)などの本以外に、法律系雑誌の演習問題も使っていました。

3 法科大学院卒業後の学習状況

1.1回目の受験は、短答が2点足りず足切りにあいました。2回目の受験に向けて、短答式の勉強の時間を多めに取り、疑問があればすぐに基本書を確認して基礎知識を定着させました。
 短答の対策は、各教科『司法試験短答過去問パーフェクト』(辰已法律研究所)で十分でした。具体的には、間違えた問題や正解でも自分なりの理由付けが間違っていた問題の肢にチェックマークを付け、チェックマークの多い問題から自分の弱点を洗い出していました。何度か繰り返して解いていると、必ず間違えているところがわかります。そこは自分の本当に苦手な分野となるため、付箋を貼って受験直前期にすぐに参照できるようにしていました。この方法により、2回目の受験以降は短答で足切りにあうことはなくなりました。

2.短答に通るようになってからは、朝一で短答の過去問を各教科10問程度解いたら、残りは論文の勉強時間としていました。2回目の受験以降、論文の結果が判明するようになったので、短答に充てていた時間を主に苦手科目の対策に充てるようにしました。私は2回目の受験で特に選択科目(租税法)の成績が悪かったので、租税法の自主ゼミを組み、過去問の答案を添削しあっていました。人の答案を見たり自分の答案を添削してもらったりすることで見えてくる弱点はかなり多く、一番点数の低かった租税法は、年々8~10点ずつ成績が良くなり、最終的には一番の得点源となるまでに至りました。
 他の科目については、過去問を解く以外にも、例えば『事例演習行政法』(日本評論社)の自主ゼミに途中から参加させてもらったり、民法百選をつぶすゼミを開いたりなど、自主ゼミを中心とする勉強をしていました。自主ゼミでは答案を持ち寄ることも多かったので、人の答案を見て自分の足りないところを補っていきました。

3.毎年3月ごろには必ず全国模試を受け、自分の実力を確認していました。私は、毎年辰已全国模試又は他の予備校の模試を受けていましたが、辰已全国模試を受験することをお勧めします。
 最初、辰已全国模試は他の予備校の模試より高額であり、経済的に厳しいと判断して利用していませんでした。しかし、合格者からは全国模試は辰已全国模試の方が良いとよく言われていました。その理由をうかがったところ、辰已全国模試は分析力がすばらしく、その結果は実際の司法試験での自分の立ち位置に近いものとなるとのことでした。
 その言葉を受け、実際に私も辰已全国模試を受けました。短答の個人成績表を確認してみると、各科目ごとに条文・判例・学説・事務処理・論理等の5つの観点から分析されたバランスチャートが示されていました。科目ごとに苦手な項目が一目でわかるようになっていたので、残り少ない本番までの準備時間で何を重視すべきか計画が立てやすかったです。
 また、2020辰已全国模試での私の総合点数は、合格推定点をわずかに上回るものでした。そのため、当日のコンディション次第で合格を逃す程度の実力しかついていないのかとやや落ち込みました。しかし、実際の司法試験も、合格点をわずかに上回る点数で合格していました。辰已全国模試の結果は、本当に自分の司法試験での立ち位置どおりで驚きました。

4 論文式試験の勉強の反省点及び特に重要だと思った点

1.途中答案は厳禁です。私は書くのが遅く、途中答案の癖がなかなか抜けずに苦労しました。
 途中答案の対策として、自分は1行に何文字書いているか及び1ページ書ききるのに何分かかるかを調べました。そして、今まで起案した答案の平均枚数から自分が時間内に書ける文字量を計算し、問題の配点割合に合わせて各設問を何ページ何行以内で書かなければならないかを調べました。私は1行35~40文字で、1ページ書ききるのに18分かかり、答案の平均枚数は5枚でした。そのため,配点の1割につき約11行(半ページぐらい)を目安に各設問の文章量を決めていました。
 さらに、実際に起案するときは、問題提起・規範・具体的検討をそれぞれ何行以内に書くかまで答案構成用紙にメモしていました。ここまで細かくメモをしておけば、書きすぎたときでもどこを少なく書けば文章量を調整できるかがわかりやすくなります。

2.全科目の過去問の演習は必須です。解いた後、出題趣旨や採点実感もしっかりと読み、自分の論述に足りない点はないか確認していました。出題趣旨や採点実感は、どのような内容・程度の答案が求められているか知る目安になるので、しっかり読み込むことをお勧めします。

3.過去問に限らず、作成した答案は必ず先生や友人に見せて添削してもらってください。人に見せることで自分の書き方の癖を知ることができます。説明がわかりにくい・理論のつながりが飛んでいる(又は足りない)・事実評価がない・結論が問いに対応していないといった内容面や、文字の大小・文字の読みやすさ・誤字脱字・接続詞の使い方・ナンバリングの誤りといった形式面など、人から指摘されて気づく点はかなり多かったです。

4.早めに自作のノートを作成し、知識を一元化させましょう。私は、ロースクール在学中は課題に追われ、ノートを作成しませんでした。しかし、ロースクールを卒業して1回目の短答式試験に落ちた後、ノートの必要性を強く感じ、失敗ノートの作成をはじめました。
 具体的には、B6サイズの情報カードとバインダーを用意し、ゼミや模試などで不足していると感じた知識及びうまく書けなかった論証例をメモしました。基本書の内容を網羅しているわけではありませんでしたが、理解したものをバインダーから取り外していけば、試験直前期には自分専用の弱点対策ノートが出来上がります。試験会場にはこのノートだけ持っていけばよいのでとても重宝しました。

5.暗記の時間は必須です。採点者は答案しか見ないので、自分が学習したことは答案に正確に書けなければ意味がありません。趣旨・定義・判例の規範やその理由付け等、他の受験者が書いてくると考えられるものは必ず暗記です。

6.予備校の模試等を受けた際は、必ず配点表を確認しました。自分の答案がどこで得点を逃しているかがわかりますし、司法試験の配点予想の参考にもなります。

5 これから受験する皆様へ

1.法科大学院生の方は、授業で慌ただしい日々をお過ごしかと思いますが、隙間時間に自作ノートを作ることをお勧めします。知識の一元化をしておけば、見直す時に困ることがありませんし、手書きで作成すれば記憶にも残りやすいです。

2.リベンジ合格を目指している方のうち、短答に通らなかった方は、基礎知識不足が原因です。そのため、簡単な演習書(例えば『えんしゅう本』(辰已法律研究所)や『Law Practice』(商事法務)など)を用いてインプットとアウトプットを繰り返し、基礎知識を定着させることに重点を置いた勉強をお勧めします。
 また、リベンジ合格を目指している方のうち、短答に通った方は、合格した方の再現答案を見せてもらうなどして、自分の答案に足りなかった部分を分析することをお勧めします。何をどの程度書けたら合格答案になるかが見えてくると思います。身近に合格者がいれば、構成用紙の使い方にもヒントがあるので、構成用紙を見せてもらうのもお勧めです。

3.そして、受験回数が多い方は、心身の健康を保つことを特に心掛けてください。休むことも勉強です。家の中でも外でも、自分がリフレッシュできる方法を複数見つけ、リフレッシュの時間を必ず設けて下さい。

6 最後に

 私の受験生活は、応援してくれている家族、気にかけてくれる友人や熱心に指導してくださる先生方など、本当にいろいろな人に支えられてきました。特に受験勉強に専念するためにずっと生活面を支えてくれた両親と兄には感謝してもしきれません。周囲の人々の支えがなければ、合格はできなかったと思います。
 受験生活は大変なことも多いですが、自分の夢や支えてくれる人々の存在を励みにして、最後まで諦めないでください。皆様の合格を心より応援しております。
 私の合格体験談が少しでも皆様の参考になれば幸いです。

辰已法律研究所 受講歴

【2020年対策】
・司法試験全国公開模試

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