目的と苦手を常に把握することが全ての始まり!

開原 早紀さん 受験歴: 新試験1回
中央大学法学部法律学科
予備試験2018年合格
【受講歴】司法試験全国公開模試

1 司法試験を目指した経緯

 私は、高校2年生の頃に、冤罪事件の再審決定の報道を見ました。この報道で、被疑者・被告人の側から、刑事事件に関わりたいと思い、刑事弁護人を目指しました。そこで、司法試験を目指しました。

2 予備試験合格までの学習状況

 私は、大学1年生の10月から法律の司法試験の勉強を始めました。大学1年の後期に刑法・憲法の導入の勉強、大学2年の前期に民事訴訟法・刑事訴訟法の導入の勉強、大学2年生の後期に会社法・行政法の導入の勉強をしました。民法については、分量が多いため、大学1年から3年までかけて完成させていきました。
 基本書や参考書については、以下のものを基本的には使用していましたが、わからない部分については、多い時には10冊以上の基本書を漁って調べました。

憲法:憲法学読本・芦部憲法・判例百選 等
行政法:基本行政法・櫻井橋本行政法・判例百選・基礎演習行政法・事例研究行政法 等
民法:佐久間民法・松井担保物件・中田債権総論・潮見債権各論・判例百選・辰已えんしゅう本(古いもの)・辰已合格思考民法 等
商法:リーガルクエスト会社法・会社法(紅白色のもの)・判例百選・ロープラクティス商法 等
民事訴訟法:和田民事訴訟法・読解民事訴訟法・判例百選・ロープラクティス民事訴訟法・基礎演習民事訴訟法 等
刑法:基本刑法・山口刑法・橋爪連載・判例百選・刑法事例演習教材 等
刑事訴訟法:リーガルクエスト刑事訴訟法・川出連載・判例百選・事例演習刑事訴訟法・捜査法演習 等
民事実務基礎:新問題研究要件事実・紛争類型別の要件事実・大島要件事実・辰已民事実務基礎ハンドブックの民事執行法民事保全法 等
刑事実務基礎:辰已ハンドブックの刑事手続 等
倒産法:倒産法概説・判例百選・辰已えんしゅう本・倒産法演習ノート 等

 大学3年生から、試験を意識した勉強を始めました。試験では、「試験時間内に合格答案を書く」能力が必要です。そこで、それまでは、気になる部分を納得がいくまで調べ尽くしていましたが、それに加えて、穴のない知識のインプットと私見を意識した答案作成を行いました。
 穴のないインプットでは、辰已法律研究所の発売している「趣旨規範ハンドブック」を一つの基準にしていました。これに載っている論点は、全員が押さえて試験に臨むはずと考えて。これに載っている論点のうち、知識があいまいなものや論文が書けるか不安なものを一つずつ潰していきました。趣旨規範ハンドブックの中でも、周りの受験生が知らない知識については、相対的な合格ラインとの関係では必ずしも必要ではないと思ったので、周りの友人や学生がどこまで知っているかも確認しつつ総復習をしていきました。穴のないインプットは最低条件で、それ以上については時間がある時に納得いくまで調べる等、自由に勉強しました。
 答案作成では、それまでの答案作成の視点は「自分の理解が答案に表せるかどうか」でしたが、「どんな問題でも時間内に合格できる答案を常に書けるか」という視点を重視しました。問題によっては、設定されている試験時間より短い時間で起案する等工夫しました。
 これらの勉強の一番の軸になるのは、「自分の苦手な分野がどこか、そして今最もやるべきことは何か」です。私は、試験では、苦手科目がある代わりに得意科目がある人よりも、苦手科目がなくてどれも満遍なくできる人が、最終的に受かりやすいと考えています。そのため、自分の苦手を把握し、それを克服できる勉強を考えて、これらを基準にして優先順位をつけることが、勉強計画を立てるうえで必須だと思います。私も、常にこの意識を持って勉強していきました。また、自分の勉強に疑問を感じる時は、大抵この計画の立て方がうまくいっていない時でした。
 ロー入試後、予備試験の短答式試験に向けての勉強では、「あいまいな知識ではなく、確実な知識を増やしていく」という意識で辰已出版のパーフェクトで対策をしました。ロー入試後は、特にロースクール入学後は授業等で忙しく思うように時間が取れませんでした。しかし、苦手な部分はどこか、知識があいまいな部分はどこか、を見極めて、優先順位をつけて対策をしていきました。辰已の総択は、ペースメーカーとしても自分の知識の穴を知る意味でとても有効だと思います。ただし、科目によっては簡単だったり難しかったりするため、必ずその問題の正答率がそれぞれどうだったのかを確認する必要があります。間違えた問題でも、正答率が低いのであればそれほど神経質にならなくていいと思いますし、正答率が高い問題なら、正解して得点が高くても安心しきるべきではないです。模試の復習の仕方を少し工夫することで、より効果的な模試の利用が可能だと思います。
 その後の論文式試験に向けての勉強では、全部の科目の総復習を、自分が作っていたまとめノート(辰已出版の趣旨規範ハンドブックをもとに、規範を自分なりに書き換えたり、知識を図式化して理解できるようにメモしたり、重要な知識を書き込んでいったりしたもの)を使って行いました。また、特に要件事実の暗記が苦手で不安だったので、要件事実は3周以上したと思います。そして、答案練習については、ロースクールの授業との関係で平日は起案ができなかったので、土日を使って、予備試験当日の日程で、過去問演習を行いました。そして、復習の際には、A答案はどこが評価されたのかを確認し、自分の答案がC答案を下回らない答案かどうかを確認しました。予備試験は全科目C答案を揃えれば合格すると言われているので、C答案を下回っていると感じた答案については、どの点を改善すべきかを考えて復習しました。これによって、どの科目のどの答案でも、C答案以上の答案が書けるように意識しました。さらに、辰已の予備試験論文模試では、本番と似た緊張感を体感し、自分がいつも通りの実力を発揮できるかを確認するとともに、足りないと思う分野を見つけて復習しました。辰已の論文模試は、採点者によって点数や評価にばらつきがあるため、自分の答案のうち、点数が入っている点も入っていない点も含めて、優秀答案と比較したり、周りの友人と話し合うことで、本番でも本当に評価がつかないような答案になってしまっていたかを、確認すると良いと思います。
 予備試験の口述の対策については、ロースクールとの兼ね合いで、2週間で対策することは難しいと思ったので、9月の頭から対策を始めました。まず、過去問を友人と二人で全てさらいました。口頭で問題を出し合って、合格発表前までに全て終わらせました。また、合格発表までに、大島要件事実を2周と刑事手続を1周して復習しました。合格発表後には、民事執行民事保全は3周以上、大島要件事実はもう2周、刑事手続は2周、条文を全て確認しながら復習しました。また、辰已の予備試験口述模試を受け、本番の緊張感を経験するとともに、受け答えで注意すべき点や自分の弱い部分の穴埋めをしました。辰已の口述模試は非常に質が良いと思います。刑事も民事も、本番に近い内容と形式でした。口述試験を受ける人は、ぜひ利用すべきだと思います。
 口述試験の本番は、一日目の刑事で大失敗し、絶望して切り替えるのに時間がかかりましたが、自分なりに切り替えて二日目の民事に臨みました。口述試験は、緊張で多くの人が少しずつ失敗している試験だと思います。そのため、自分のなかでうまく切り替えることが重要だと思います。

3 予備試験合格後の学習状況

 予備試験合格後の勉強については、選択科目の勉強と、司法試験の過去問演習について、記述します。
 まず、選択科目については、興味のある倒産法を選びました。試験向けの勉強としては、やることも多く大変だという話をよく聞いていましたが、自分の最も好きな科目の勉強が楽しいと思ったので、躊躇うことなく選びました。実際に対策は簡単ではありませんでした。ロースクールの倒産法の講義で、倒産法の外観や重要な部分について勉強し始めました。その後、倒産法の知識を論文試験用に引き直せるように、辰已のえんしゅう本を使いました。この、知識をうまくアウトプットするのが、倒産法の場合は比較的時間がかかりました。また、倒産法は幅広い知識があるからこそ気づける点も理解できる点もあるので、それを表現するのも時間が必要でした。えんしゅう本は、答案を書いたのではなく、答案構成で、実際の論文ではどのように書くかを考えながら2周しました。辰已のえんしゅう本は、最重要な論点が詰まっている印象だったので、倒産法選択の人は、一度使えるか見てみるといいと思います。また、倒産法では判例の正確な知識が必要です。そのため、判例百選は4周しました。そして、近年は倒産法演習ノートの知識まで必要だということを聞いたことがあります。ですが、個人的には、倒産法の基本的な理解ができていれば、知識として知らないものでも現場思考で解けるように思いました。また、倒産法演習ノートは結構理解するには重たい本です。そのため、時間に余裕のある人は読むと理解が深まると思いますが、合格との関係では必須ではないと思います。
 次に、司法試験の過去問演習については、できれば2周したいと思っていましたが、時間が足りず、できませんでした。司法試験の過去問についても、「試験時間内に合格答案が書ける」ことを目標に起案していきました。辰已のぶんせき本も利用しました。司法試験では約1500人合格しますが、1500位を下回らない答案を目指すのでは、確実な合格が難しいと考えたため、2桁の答案と100位代の答案と200位代の答案と照らし合わせて自分の答案を分析していきました。
 また、辰已の全国公開模試を受験しました。本番と同様の会場で受験できるため、会場までの移動状況等も確認できました。私は自宅から会場まで、通勤ラッシュの電車に乗って移動するのはとても疲れると実感して、ホテルをとることを決められました。そのため、本番の緊張感や疲労感を知る意味では、模試の受験はとても重要だと思います。一方で、やはり模試の問題は、考えて作成されていると思いますが、本番の司法試験の問題の難易度と比べると劣ります。そのため、模試の順位を信頼しすぎることなく、模試の結果は一つの基準と考え、自分の苦手を把握しつつ最後まで対策するのが良いかと思います。

4 学部在学生・予備試験受験生へのアドバイス

 初学のうちは、試験を意識せず、「この法律はどんな利益を守ろうとしているのかな」「この条文がないと何が困るのかな」ということを考えながら、自由に法律の勉強をするのが良いと思います。法律の細かい知識を抜きにしたこのような感覚が、後の法律論を考えるうえで非常に重要だからです。法律の勉強は、もちろん試験のためにやっている人も多いと思いますが、試験を取っ払って、生の意見や生の事実に触れることで見えてくる、法律の根底の考え方が絶対にあると思っています。ぜひ、法律の細かいインプットだけでなく、自然な感覚や、法律論の考え方を養うために、まずは自由に勉強してほしいと思います。
 予備試験受験生には、特に「知識の暗記にならない」ことを常に心掛けてほしいです。これは短答式試験でも論文式試験でも同じです。中身がなく、使えない知識では、持っていても意味がありません。これは試験との関係でも、実務に出た後とも関係でもそうだと思っています。自分の持っている知識の理解がしっかりできているかを意識してみてください。論文試験で出題される、いわゆる「論点」の理解では、問題の所在から規範の理由づけ、そしてあてはめの視点まで説明ができるか、を確認すると良いと思います。

5 予備試験合格の司法試験受験生へのアドバイス

 まず、選択科目については、早めに取り掛かった方が良いです。予備ルートの場合には、ロースクール卒業生と比べて選択科目の勉強時間が少ないです。そのため、選択科目でしっかりと戦えるように、早めに導入の勉強に取り掛かることをお勧めします。
 また、司法試験は、他の試験や予備試験と比較しても、最も緊張する試験だと思います。司法試験以上に、いつも通りでいるのが難しい試験はないと思います。私自身も、非常に緊張して、5日間いつも通りの自分を保つことができませんでした。その日の試験が終わるたびに失敗した答案がフラッシュバックして、泣いていました。もうだめだと何度も挫けました。皮膚のかゆみが止まらなかったり、蕁麻疹が出たり、利き手も腱鞘炎だったので、体調も万全な状態を作ることはできませんでした。このような状態で、逆にいつもの自分の実力を発揮することができませんでした。慎重になりすぎた部分もたくさんありました。今までの試験では起こったことのないようなミスもたくさんしました。今でもたくさん後悔しています。
 ですが、これから司法試験に挑む人は、ぜひ今までの自分の勉強に自信を持って、自分を信じて試験を受けてほしいと思います。司法試験を目指す人は、誰しも全力で勉強しているはずです。そして、司法試験で求められていることを意識して、対策の方法さえ間違えなければ、十分に合格可能だと思います。特に予備試験に合格している人は、今までの勉強で国家試験に合格しているので、勉強法が完全に間違っているということは絶対にありません。司法試験と聞くと身構えてしまいがちですが、気負いすぎることなく、自分の実力を出せば大丈夫です。自分を信じて、後悔の残らないよう、全力で頑張ってください。

辰已法律研究所 受講歴

司法試験全国公開模試

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