心得と計画

野中 嵩之さん 受験歴: 新試験2回
京都大学法学部
京都大学法科大学院 【既修】2016年入学・2018年修了
【受講歴】司法試験全国公開模試

1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり

 初めて弁護士という職に興味を持ったのは、小学校の卒業文集を作成したときです。他の友人の文集内容を見ていた際に、将来の夢が弁護士という人がいました。人を守る仕事がしたいと考えたときに、生命をつなぎとめる医者か人生を守る弁護士か、自分は人生を守る方に興味があると思ったのがきっかけです。
 その後、LS卒業後の1度目の司法試験では、総合2400番台でした。しかし、その後、たくさんの人に助けてもらい、2度目の司法試験では総合500番台で合格できました。
 去年の9月、不合格でした。たしかに、合格した友人も含め、人に会いたくありませんでした。恥ずかしいという思いがありました。しかし、たとえ挫折したとしても友人との付き合いをやめてはいけないと先輩の言葉を思い出しました。それから、協力してもらえそうな人からひたすら話を聞きました。そうすると、たくさんの人が助けてくれました。ゼミの先生、合格した友人、他学部の旧友、合格したOBの方々などです。その後は、計画を立てたこともあり不安もそれほどなく、2度目の受験で合格できました。

2 法科大学院受験前の学習状況(法律学習)

 同じ法学部のサークルの友人と週1で勉強会を組みました。毎週、問題集から1問決めて、十二分に調べて、各々100点答案を作り、互いに指摘し合い、わからない点はサークルの先輩に質問するというものでした。
 基本的には、定期試験対策をし、LS入試前は過去問対策をしていました。

3 法科大学院入学後の学習状況(法律学習)

 基本的には、LS入試前と同じでした。

4 受験対策として、辰已講座の利用方法とその成果

 辰已講座は、全国模試のみでした。辰已の順位は、本試での順位と比例すると聞いたので、模試までに自分が目指す評価をとるがためのペースメーカーとして使いました。
 たしかに、解説が手厚く、復習に時間を割きすぎた気がしますが、残り1か月の優先順位の判断に役立ちました。その甲斐もあって、本番では模試よりもAがひとつ増えました。

5 受験対策

(1) 私がやって成功した方法
 心得と計画で乗り切ることができたと思っています。詳しくは、7自己の反省の欄で後述します。

(2) 私のノート作成術
 憲法のノート作成はうまくいきました。これは憲法Aで合格した友人から聞いたやり方です。概要は、憲法の答案に書く際の体系(たとえば権利の保障範囲、権利制約の有無、審査基準の定立、目的手段審査)ごとに、重要判例をPCにまとめるというものです。
 たとえば、表現の自由は、基本書の分野ごとに、重要判例を原告、被告、私見で整理しました。整理していくうちに、事実認定でも目的手段審査で使えそうな表現など、数えきれないほどの発見があり、非常に役に立ちました。
 そのおかげで、憲法人権では今までにいい点を取ることができませんでしたが、本番の憲法でA評価をとることができました。
 また、憲法に限らず、ノートにはまとめませんでしたが、基本書を読むときに体系を意識していました。たとえば刑法なら、構成要件、違法性、責任のどこで論じる問題かを常に意識して基本書を読むようにしました。

(3) 私のスケジュール管理方法等
 まず、去年の12月より実家に戻って勉強時間を確保することから始めました。それまでは、家賃を払うためにも週5、6で1日8時間は働いており、毎日短答問題を10題するので手一杯という有様で、とても勉強できないと判断したからです。実家に戻ってからは、週2の各2時間で家庭教師をやりつつ、残りはすべて勉強時間に割きました。家庭教師をすることで人と話すことができ息抜きになるとともに、かつ一緒に勉強を頑張るというモチベーションにもつながりました。
 実家に戻ってからは、毎週、具体的な計画を立てるようにしました。詳しくは、7自己の反省の欄で後述しますが、週1日は休憩日を設けて息抜きをするとともに、今週の計画の反省と練り直しをするようにしていました。こうすることで、現実的でかつ持続可能な計画を立てることに成功しました。

6 受験対策として、私が使用した本

 科目ごとに、使用した基本書を中心に紹介いたします。使い方は、基本的には同じです。辰已のえんしゅう本のような基本的な分野を集めた問題集を1冊決めて、各分野を解く前に基本書の該当箇所を読み、PCに答案として残すことを全分野しました。
 憲法は、憲法学読本、判例集(百選)です。過去問を解く当初は、解く前に出題分野を確認して、当該分野の基本書、判例を読み込み頭に入れてから、過去問を解き、趣旨・実感を確認して、友人に答案を添削してもらうという具合に基本書等を利用しました。
 民法は、民Ⅰから家族法まで順番に、民法の基礎1(佐久間)、民法の基礎2(佐久間)、物権・担保物権(安永)、プラクティス民法(潮見)、基本講義・債権各論(1)(2)(潮見)、家族法(窪田)です。刑法は、基本刑法と雑誌法学セミナーの大塚連載です。会社法は田中本です。民訴は、和田民訴とLQです。多数当事者からはLQで、それ以外は和田民訴を使いました。刑訴は、捜査法が酒巻本、証拠法はLQでした。行政法は大橋本です。

7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

(1) 自己の反省
 1度目は、司法試験のみならず国家公務員試験も同時に受験しました。結局、どちらも中途半端になり、直前も短答試験の勉強ばかりで、本番1月前の辰已の短答模試では、175点中89点という有様でした。他方で、論文対策は、前年の12月末までゼミでしていた過去問対策以来、していませんでした。そのゼミで、29年から23年の過去問をほぼすべて答案にしていましたが、直前の論文対策は皆無でした。
 9月の結果は不合格でした。短答試験は129点で合格できましたが、論文が2400番台でした。当初は、何が良くなかったのかわからずに途方に暮れていました。漠然と、次は何が何でも社会に出なければならないと、司法試験、国家公務員、地方公務員試験を同時に受けようかと考えていました。
 ひとまず、いろんな人から話を聞くことにしました。合格した友人も含めて、どんな勉強をしていたかなどを聞きました。
 そこから、社会で生き抜くための心得、敗因分析を踏まえた現実的な計画作成を意識すべきという考えに至りました。以下では、それぞれについて述べます。

ア 社会で生き抜くための心得
 合格した友人やゼミの先生から言っていただきました。ひとつひとつ確実にしたらどうかと。これを聞いて思いました。別に公務員試験を司法試験と同時に受ける必要はない、一つだけ受けるとしたら司法試験しか考えることはできないと。そして、司法試験1本に絞りました。
 何が何でも受からなければならない。背水の陣を敷いたかのような感覚になりました。
どうしたらいいのか。ふと、風邪をひいても合格者の中に入るよう準備したという東大合格者がいたこと、全体の計画をきちんと立てることが大事だという友人の話を思い出しました。
 では、本番で何が起きても合格者に入るにはどうすればいいか。まず、合格の最低ラインを考えました。合格した何人かの友人から成績を聞き、たとえE判定が1つあってもA判定を4科目はあれば確実に合格すると判断しました。そのためにはA判定を6科目は取られるように目指そうと決意しました。
 大きな目標を明確にした後は、具体的な目標・計画です。いかに立てるべきか。むやみやたらに計画を立てて勉強しても非効率です。受験まで6か月ほどしかなく、次こそミスは許されないと考えていたので、なおさら無駄なことはできません。そこで、敗因分析をしたらどうかという友人の言葉を思い出しました。

イ 敗因分析を踏まえた計画作成
 次に、敗因分析をじっくりすることにしました。もちろん、つらいですが、平成30年の成績と下書き、出題趣旨・実感を見比べながら、時間をかけて、何が不足していたか、いかにすればA判定をとることができるかを考え、PC内のノートにまとめていきました。
 これにより気づいたことは、どの科目も論文の基礎力が不足していたことです。
 この基礎力の養成のために、問題集を各科目1冊ずつ決めて、すべて答案化していくことにしました。ただ、時間の制約上すべて答案化するのは困難なため、成績から優先順位も決めました。
 また、表現の仕方や論述内容のズレは、司法試験の過去問を時間内に解き、合格した友人に見てもらおうと考えました。
 敗因分析は以上で済みました。あとは、具体的に計画を立ててこなすだけです。問題集の問題数は全部でいくつか、1日に何題は答案にできるから何日かかるか、を手帳に書き込んでいきました。
 ただ、計画を立てて実行することは昔から苦手でした。なぜ計画倒れをしがちなのかを考えました。そこから、自分の癖を見極めて、現実的な計画を立てることにしました。たとえば、週に1日は休憩日を設けて計画を見直すこと、1日1題は何が何でも答案にすることにしました。
 こうすることで、計画通りに勉強を進めることができました。生まれて初めて、青写真ではない計画を立てることに成功しました。成果としては、最も勉強が遅れていた憲法、民法、会社法、刑法、倒産法は計画通りに終わらせることができ、さらに司法試験の過去問も並行して解き、自分のものにすることができました。成績は、順番に平成30年度がC、D、D、D、36点でしたが、令和元年ではA、A、A、B、51点まで伸びました。
 同時に、今日の計画通りに勉強をすればこの日には終わる、と試験直前期も不安に思うことは少なくなりました。

(2) LS在学生へのアドバイス
 全科目の論文の基礎はLSに入る前に終わらせておいてください。たとえば、民訴のえんしゅう本の基礎問題はすべて自分で答案にするなり、ノートにまとめておくなどです。
 LSに入学すれば、周りは皆それらをすべて終わらせていると考えておいていいです。基礎の勉強の仕方は、各々あるでしょう。ノートにまとめる、論証集を作っておく、問題集の答案を作成するなどです。自分が納得のいく方法でいいと思います。

(3) 来年のリベンジ合格を目指している方へのアドバイス
 まず、勉強時間を確保してください。ご家庭の事情もあるでしょうが、アルバイトなどは最低限にしましょう。僕は不合格直後、関西で家賃を払いながら勉強しようと考えていました。ただ、バイトが週6で、勉強は毎日、短答10題が手一杯でした。これでは埒が明かないと考え、実家に帰って勉強に専念しました。実家では、バイトは週2の家庭教師だけで、残りはすべて勉強に費やしました。
 最後に心得の話で恐縮ですが、私は毎朝、心で唱えていたことがありました。それは、ア できることからひとつひとつ確実にすること、イ 何が起きても1500番台に入ることです。

ア できることからひとつひとつ確実にすること
 できること。たとえば、友人や先輩と御飯に行くことです。そこで、様々な話を聞くことができるはずです。そして、建設的な計画を立てて、前に進むこと。
 素人が次の日にプロ野球選手になることなどありえません。全体の見通しを立てて、逆算して今日できることは何か。この直近の目標を重ねていくことでしか、理想を実現することはできないのではないでしょうか。当然かもしれませんが、私はこのことを確実に実行しました。

イ 何が起きても1500番台に入ること
 このためにも、次のように意識しました。最低ラインよりも少し上を目指すこと。これは、結果が求められる社会では広く通用する心得ではなかろうかと確信しています。
 私も、去年、先輩より言われました。2度目以降の受験勉強では、メンタルの作り方も大事になってくると。その通りだと思います。不安に襲われることも、幾度もありました。そんな中で救ってくれたのは、たしかな計画と上記の心得です。そして、話をしてくれる友人や、家族でした。
 決して楽ではないでしょうが、メンタルにも気を使いつつ、結果を勝ち取ってください。

辰已法律研究所 受講歴

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