4回目の受験で見えてきたもの

K.Uさん 受験歴: 新試験4回
慶應義塾大学法学部法律学科
中央大学法科大学院 【既修】2014年入学・2016年修了
【受講歴】2018年スタンダード論文答練(第2クール)、司法試験全国公開模試

1 司法試験の受験を決意した経緯

 中学3年時、進路を決める際に弁護士になることを志望しました。きっかけは「だから、あなたも生き抜いて」(講談社、大平光代著)という本に出会い、こんなにも尊敬に値する職業があるのかと率直に関心を受けたからです。
 司法試験を受けるためには法学部のある大学に進学することが肝要であると考え、高校入学後から司法試験合格を目指して勉学に励んできました。

2 合格までの道のり

 私は令和元年に合格通知を受け取るまで、実に4回もの司法試験を受験しました。
 3度も司法試験の壁に阻まれた最大の原因は、”弱点の克服“を疎かにしたことに尽きると考えています。
 司法試験は、得意科目を伸ばすことよりも、全科目平均点を下回らないことが何よりも重要であると考えます。そのことに気がつかなかった私は、毎年毎年異なる苦手科目の克服に目を背け、得意科目の更なる発展に力を入れていたため、合格まで時間がかかったという経緯があります。
 4度目の受験の際には、ようやく苦手科目の克服こそ司法試験合格への最短ルートであるということに気がつき、弱点克服に多くの時間を費やしました。

3 法科大学院受験前の学習状況

 予備校の入門講座、学部ゼミでの学習、自主ゼミでの起案等を中心に学習していました。
 ただ、志こそ司法試験合格を掲げていたものの、本腰を入れた学習には程遠い内容でした。
 基本書の通読といった基本的な学習が出来ていなかったと痛感しています。

4 法科大学院入学後の学習状況

 LS入学後は、LSの授業中心に学習を進めていました。成績(最終GPA3.0)も悪い方ではありませんでしたが、最も重要(私が重要と考える)な問題演習を疎かにしていたため、地力が付いてなかったと感じています。

5 受験対策として

(1) 辰已講座の利用方法とその成果
 私は、スタンダード論文答練(第2クールから)を利用しました。第2クールは年明けから始まりますが、この時期からの答練を利用した理由は、年内中に苦手科目の克服・自主ゼミでの過去問検討に時間を費やしたかったからです。答練に求めるものとしては、第三者(合格者)の目から見た添削、論点の確認、論証の確認、あてはめの方向性の確認といった点でした。
 当初の計画通り、答練を通じて自身の起案の特徴(表現の癖や間違いやすい漢字、熟語)を把握し、かつ諸論点、論証の記憶を喚起することができました。
 スタ論を利用することで、1週間に1回のペースで強制的に答案を書くことができます。加えて、友人らとの自主ゼミとは異なり第三者の目からみた採点もついてきます。
 私は、自主ゼミを組む友人と一緒にスタ論を取り、毎週点数を競っていました。
 答練終わりには、帰り道であれこれ議論できることも記憶定着の方法としては適切だったと感じています。
 学習の総仕上げとしては、3月に開催される全国公開模試を利用しました。私自身4回目の司法試験受験だったので、会場の雰囲気に慣れるという点は重視しませんでした。
 むしろ、本番でも出題が予想される論点の確認、予想される論点が出た場合の対応、未知の問題が出た場合の対応等細かくテーマを決めて遂行することに注力しました。
 テーマを決めそれを遂行することに意識を向けることで、無駄な緊張を防ぐこともできます。ぜひ、模試を受ける際には“テーマ”を掲げてそれをこなす、ということを意識してみてください。

(2) 私がやって成功した方法
 3回目の受験に失敗した際、自身の決定的な弱点を理解することができました。私の場合は、演習不足がそれでした。これまでの学習を通して新司過去問は一通りこなしていました。しかし、受験生一般が使用する名の知れた演習本を利用することが極端に少なかったためです。
 過去問を利用した学習は、司法試験に特有のいわば「作法」を学ぶ点に価値があります。これは、司法試験の“ハード面”ともいうべき性質を有していると考えます。
 一方、演習本を使った学習は、自分の頭を使い論点を見つけ出す作業を要する、「筋トレ」の性質を有しています。これを司法試験の“ソフト面”と考えました。
 私は、後者の「筋トレ」たる“ソフト面”が極端に弱かったので、演習本を使った「筋トレ」に注力し弱点克服を目指しました。
 特に苦手としていた民法は、辰已の「読み解く合格思考民法」を何度も何度も繰り返し解きました。1周目は全く論点や道筋が浮かばなくても、2周目、3周目になると道筋が浮かんでくるようになります。これは、決して「やったことがある問題を解いている」からではなく、司法試験民法に特有の論点の導き方を理解できた点にあるからです。
 他の科目についても、名の知れた演習本は一通り揃えて、自学時間中は「筋トレ」に励みました。
 ハード面たる「作法」については、引き続き自主ゼミでの過去問検討で最新の情報を取り入れつつ、そらで答案構成を描けるようになるまで完成度を高めました。
 このように、ハード面とソフト面の両輪を鍛え上げることで司法試験に万全の状態で臨めるように準備しました。両者はどちらかが欠けてしまっては前に進みません。文字通り“両輪”なのです。

(3) 本番直前のノート作成
 試験本番が近づくにつれ、試験期間中肌身離さず目を通すものとして、“ファイナルペーパー”なるものを作成しました。資格試験に精通するある人のブログをみて取り入れました。
 内容は、各科目A4用紙1~2枚以内の備忘録のようなものです。自身が何度も間違う論点や科目ごとに気を付けるべきポイント、自分自身を勇気づける言葉等を箇条書きしたような紙ペラです。
 試験の科目間の休憩中には、ファイナルペーパーしか見ませんでした。普段使う論証集は会場にすら持っていきませんでした。今までやってきた軌跡をファイナルペーパーに落とし込んでいたので、「ここに書いてあることを表現すれば落ちはしない!」と信じていました。
 過去の受験では、試験開始直前までろくに頭に入らないにもかかわらず、論証集にかじりついていた自分とは決別して上記方法を取りました。

6 私が使用した本

 全科目の百選を揃え、ランク付けをして論点の把握の一助として使用しました。会社法や民訴法、刑訴法は百選をそのまま自作の論証集として使用しました。
 民法の論証集のみ辰已の趣旨規範本を使用しました。前記合格思考本を解いては趣旨規範本に加筆修正を加え、自作の論証集に仕上げていきました。
 市販の論証集であれば何でも構わないと思います。その論集集を自分なりに“汚していく”ことが定義、論証の暗記の王道であると考えます。
 短答対策としては、辰已の肢別本を使用しました。私は、肢別本の★マークがついた問題のみ解きました。★マーク以外の問題は、出題年度が極端に古いか難しすぎる問題だったので、合格には必要ないと判断したためです。いま考えると思い切った判断ではありましたが、短答問題に格別苦手意識を持っていなかったので、これで十分でした。
 大事なことは、★マーク以外は解かなくても十分なんだ、と鵜呑みにすることではありません。自身の特性・苦手意識・長所等をシステマティックに分析してこなすべきタスクを決定することです。

7 これから受験する人へのアドバイス

 私は合格するまで途方もない時間がかかりました。冒頭にも記した通り、自身の弱点に目を背け、システマティックに学習に取り組まなかったことが原因です。ゴールから逆算して考えることこそ本質であると合格者の方々は口を揃えます。まさにその通りだといま感じています。
 司法試験合格を遥か彼方の頂と考えてはいけません。日々、こなすべきタスクを決定し淡々とこなしていくことで合格に必要な実力が育まれます。あとは、試験当日及び試験直前に体調面・心理面に不調を来した他の受験生が勝手に滑り落ちていく試験です。
 「絶対受かってやる!!」という意識ではなく、「落ちないように平均点を狙う」という意識が大事です。合格という頂は決して雲に隠れているものではないことを理解してください。

辰已法律研究所 受講歴

【2018年対策】
・スタンダード論文答練(第2クール・選択科目)
・司法試験全国公開模試

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