遠回りの末に掴んだ合格。学習の方向性さえ間違えなければ、司法試験は怖くない。

大山 泰寛さん 受験歴: 新試験5回
早稲田大学第二文学部
立命館大学法科大学院 【既修】2013年入学・2015年修了
【受講歴】2019年司法試験全国公開模試 他

1 司法試験の受験を決意した経緯

 大学最終学年時、周囲の就職活動が活発になる中で、私は将来何を生業としていこうと考えたとき、自己のスキルを活かした仕事ができ、なおかつ独立が可能な士業に興味を持ちました。
 様々な士業について調べていると、弁護士の仕事は実際どんなものであろうかと気になり裁判傍聴に赴いたところ、毅然として訴訟活動を行う弁護士の姿に感銘を受けました。この仕事を生業にし困っている人の助けになりたい、と弁護士を目指しました。

2 法科大学院時代

 私は文学部出身であったため、法律の知識は全くありませんでした。法科大学院の入試は、辰已の趣旨規範ハンドブック、某予備校本を一通りこなして独学で臨みました。
 法科大学院では、周囲の法学部出身の学生に追いつく意識でいっぱいで、とにかく単位を落とさないように必死でした。講義では判例に対する高度な考察が求められるのでそれに対する準備、課題をこなすことで日々追われており、本試験対策は二の次になってしまっていたと思います。
 今思い返すと、付け焼刃の知識で入学し、単位をとることに労力を日々注いだという、このようないきあたりばったりな私の姿勢が、司法試験合格を遠ざける発端となっていたのかもしれません。

3 一度目の受験

 上述のように、試験対策をほとんど行えていない状態であったので、短答はかろうじてぎりぎり通過したものの、総合順位4000番台という下位で惨敗でした。
 知識不足が原因だと感じ、受験生に定評のある基本書や参考書を買い漁り、二度目の受験に向け、対策を始めました。この時点ではメンタル面でも、「次絶対受かってやる!」という気持ちで満ち溢れていました。

4 二度目の受験・三度目の受験

 インプットを強化した結果、短答は130点、140点台で安定しました。
 しかし、論文が伸び悩み、総合順位2000番台前半で踏みとどまってしまいました。
 私はこの間、思い返すと大きな間違いをおかしていました。「自分が落ちるのは知識不足のせいだ、そして出題趣旨に書いてるような難しい論点に気づけなかったからだ」と。難しい論点に対する事前準備をするため、難しい演習所や基本書に手を拡げていきました。
 メンタルも段々と、不安・焦燥感が募り、イライラしがちになりました。

5 四度目の受験

 四度目にして短答が、かろうじて通過したものの過去ワーストの点数をとってしまいました。自己採点をして茫然自失となってしまい、しばらくなにもやる気が出ませんでした。
「短答は自分はもう大丈夫!」という慢心、そして難しい演習書・基本書に手を出し、短答対策が疎かになったことが原因だと思います。
 5月の時点で不合格を確信しましたが、1700番台でやはり不合格でした。
 ただ、論文が1600番台であったので、短答が普段通り取れていれば…と、ものすごく悔しくて、次の受験がラストだと思うと、非常にやるせない気持ちになりました。
 この時点では自信を完全に無くしていました。

6 ラストチャレンジに向けて

 四度目の不合格後、もはや気力がなくなり、放心状態がしばらく続いていました。「私は法曹に向いてないのではないか」。同期や後輩がこの四年間で合格していく中、取り残された気持ちでいっぱいで、もはやメンタルはズタズタでした。
 しかし、やはり弁護士になりたいという思いが強く、五度目のラストチャレンジを放棄することはできず、最後に賭けようと立ち直る決意をしました。
 とはいうものの、一通り勉強しきった思いでいたので、このまま自己流のやり方ではまた不合格になると感じ、周囲の合格者に相談をたくさんし、敗因分析を徹底的に行うことにしました。
 相談する中で、その内二名、複数回受験者でスタ論西口クラス・小教室を受講していた合格者がいました。話を聞いていると、私のような複数回受験でくすぶっている受験生にはぴったりかもしれないと興味をもち、西口竜司講師に面談をしていただきました。
 西口講師は多くの合格者を輩出し、複数回受験者の救済にも定評がある方なので、アドバイスは核心をつかれたものばかりでした。私の司法試験に対するいわゆる「勘違い」が不合格に繋がっていることが、この時点でやっと理解できました。

(1) 勘違いその1 「司法試験はとてつもなく難しいし受験者も猛者ばかり」
 司法試験は相対評価の試験です。これはよく言われていることですが、私は深く理解していませんでした。司法試験は難関試験であるものの、合格点は論文で50点程度揃えればいい。つまり完璧に書く必要はありません。それにもかかわらず、私は出題趣旨に書いていること等にひっぱられ、完璧を目指そうと、小難しいことばかり書こうとしていました。
 また、周囲の受験生の答案を見ることがあまりなかった為、おおよその受験生のレベルも把握していませんでした。受験生はおよそ完璧にすごいことを書いて仕上げてくると思い込んでいたのです。

(2) 勘違いその2 「自分は基礎はできている」
 短答を140点ほどとっていた経験や、数年勉強が続いたことから、基礎はもう大丈夫!あとは難しい部分の補強だ、と思い込んでいました。後述するように、このような考えが失敗の大きな原因でした。

7 軌道修正

 西口講師のアドバイスを受け、私は難しい演習書や基本書等を全て段ボールにしまい、まずは教材を精選しました。某予備校本・百選・某論証集+趣旨規範ハンドブック・過去問のみです。
 そして答練がはじまるまでの間、インプット・論証のさらい直しを行いました。
 スタ論西口クラスは答練後、良い答案・悪い答案を何通かピックアップし配布したうえ採点をしながら解説を進めます。そして小教室では、さらに掘り下げて他の受験生の答案を各自採点して議論することになります。
 このスタイルが私には非常に有益でした。この基本論点は大体の受験生がこの程度の精度で仕上げてくる、この難しい部分は大体の受験生は困り果てて明後日のことを書いている、等といったいわゆる相場感を身につけることができたのです。
 この相場感を身につけることによって、私は問題を開いてから構成段階で「ここは多くの受験生が精度を保って書いてくるからぬかりなく仕上げよう」、「ここは難しすぎるからどうせみんな書けない。うまく明後日に行かず逃げ切ろう」といった具合に相対評価を意識して冷静に戦略を練ることができるようになりました。
 また、自分は書ける!と思い込んでいた基本論点も、いざ答練で書くと精度が低く知識があやふやなものが多々あり、指摘もたくさんされたので修正のきっかけにもなりました。
 基本論点の精度が低いと、他の受験生に大きく差をあけられることになります。難しい部分で勝負が決まると考えていた私の大きな勘違いが、ここで修正されました。
 そして、論証はなるべく多くの受験生が使用するベーシックなものを心掛けるようにしました。私は難しいことを書かなければいけないという意識のあまり、基本書の記載等から自己流の論証をすることが多々あったのですが、試験的にはよろしくないとやっと気付くことができました。
 と言いますのも、採点者は多数の受験者の答案をする中で、見たことのない基本書の記述等があれば不安になるからです。こちらがいくら熱い思いで書いても、伝わらないことがあります。これは私が実際に、小教室で他の受験生の答案を採点して感じました。
 「採点者に安心感を与える答案が合格答案なのだ、司法試験は自分が書きたいことを書く試験ではない」と考えることができるようになりました。
 答練以外ではとにかく過去問(辰已のえんしゅう本)を何周も行い、問題文から論じることが反射的に出てくるようになるまで練習しました。そして、短答も気を抜かず、定期的に条文判例本・過去問に目を通しました。

8 本試験

 ラストチャレンジというプレッシャーにもかかわらず、私は非常に落ち着いていました。スタ論西口クラス・小教室で培った相場観をもって臨めば、もう司法試験は怖くないと思えたのです。
 令和元年の試験も、試験形式が変わった科目や何を聞いているのかよくわからない問題もありました。しかし、相対評価を意識しながら、冷静に淡々と答案を仕上げていくことができました。おそらく昨年までの私なら、そういった場面に遭遇するとパニックになり、明後日のことを書いていたと思います。
 試験後は、すごくいい答案を揃えたわけではないけれど合格レベルには乗せることができたのではないか、という感想でした。
 私の合格は西口講師をはじめ、アドバイスをくれた友人や、応援してくれていた方々がいなければ実現しなかったので、感謝の思いでいっぱいでした。

9 最後に

 私は不合格の度に学習の方向性を間違えていたので、ずいぶんと遠回りをしてしまいました。複数回受験者の合格率が低い理由は、方向性が段々とずれていくからではないでしょうか。
 司法試験の相対評価という特性を分析すること、自己分析を徹底的に行うことが早期合格に繋がると私は考えています。
 特に私のように複数回受験で苦しんでいる方は、ぜひ素直になって、今一度方向性が間違っていないかを分析していただきたいと思います。
 合格を心より応援しています。ここまで読んでいただきありがとうございました。

辰已法律研究所 受講歴

【2019年対策】
・スタンダード論文答練 西口クラス
・西口小教室
・司法試験全国公開模試

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